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交通事故で重傷を負わされたのに一切謝罪なし…「重い罰」を求めることは可能?
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交通事故で重傷を負わされたのに一切謝罪なし…「重い罰」を求めることは可能?

相手方が原因の交通事故で重傷を負ったのにもかかわらず、謝罪が一切なし。賠償金を多く取って、腹立たしい気持ちを抑えたいーー。弁護士ドットコムの法律相談コーナーにこのような相談が寄せられました。

相談者はこの交通事故により、1か月入院し、全治1年の重傷を負いました。この事故が原因で仕事も失ったそうですが、相手方からは謝罪すらないといいます。

そこで相手方が刑事事件として起訴された場合、検察に「謝罪がない」と伝えることで、刑を重くすることはできないかと考えているようです。

刑事事件になるような交通事故において、謝罪があるかどうかで、加害者の刑罰は変わるのでしょうか。また、民事では損害賠償額が増えるのでしょうか。斉藤圭弁護士に聞きました。

●刑を重くする理由にはなりにくい

相談者は刑事事件でより重い刑罰を希望しています。裁判で被害者の立場から、こういった主張はできるのでしょうか。

「刑事事件で加害者の不誠実な対応を主張したい場合には、『被害者参加』という手続を利用する方法が考えられます。ただし、裁判所が常に被害者の手続参加を許可するわけではありません。また、参加が許可された場合でも、意見陳述等の内容が量刑に影響するかというと、微妙なところです。

刑事手続では、被告人(加害者)は反省を述べるのが常です。そうなると、『裁判前に謝罪がなかった』ことが刑を重くする理由にはなりにくいというべきです。法廷で暴言を吐いたような場合は別でしょうが、そうしたケースはまずありません」

●民事では「裁判所基準」の賠償額を請求すべき

民事ではどうでしょうか。

「民事の損害賠償請求でも、謝罪がないことが慰謝料の増額理由になることは、あまりありません。『保険会社に任せていた』、『無用なトラブルを避けるために接触しなかった』との反論が予想されます。そのような言い分には、道義的な問題は別にして、それなりの説得力があります」

ではどうすれば良いのでしょうか。

「実際には、最も高額とされる『裁判所基準』の賠償額をきっちりと加害者側に請求することで、満足を得ていくべきものと考えます。そして、損害項目の漏れや金額評価でミスのないよう、この交渉は弁護士に依頼した方が無難です。

交渉をしても、どうしても相手方と折り合えない場合には、裁判手続とすることも検討すべきでしょう。ただし、裁判となれば一定程度の時間や手間がかかるうえ、思わぬ反論を受けたり、意図せぬ判決となるリスクもあります。このあたりの方針の検討については、弁護士に相談するなどして、慎重に行うべきでしょう」

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

斉藤 圭
斉藤 圭(さいとう けい)弁護士 舞鶴法律事務所
東京大学卒、山梨学院大学法科大学院卒。平成22年弁護士登録し、平成24年に山梨県甲府市に舞鶴法律事務所を開設しました。交通事故、債務整理、相続問題など、様々な事件を取り扱っています。

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