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道交法が禁じる「携帯電話の画面注視」…ナビ機能、着信の確認、どんな時がダメ?
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道交法が禁じる「携帯電話の画面注視」…ナビ機能、着信の確認、どんな時がダメ?

交通ルールをめぐっては、実はそんなこともダメだったのか、という驚きの規則もあれば、言わずもがなの規則もある。道路交通法では、車を運転中に携帯電話などを「手に持って通話する」ことや、画面を「注視する」ことが禁止されている(道路交通法71条5号の5)のだが、この「注視」については、具体的にどのような行為を指すのか、答えられるだろうか。

「手に持つ」は当然ダメとしても、「注視する」はどの程度を指すのか気になった人もいるかもしれない。どの程度、見たり、操作したりすると「注視」になるのか。また、停止中であれば通話しても問題ないそうだが、「停止」には渋滞や赤信号も含まれるのか。中川龍也弁護士に聞いた。

●「注視」が意味するものは?

「道路交通法71条5号の5で記載された『注視』とは、画像を見続ける行為のことを意味します。速度計やカーナビなどは、一瞥(ちらっと見る)だけで情報を確認できるため、ちらっと見て、速度や位置情報を確認する限りでは『注視』とならないと考えられています。

ちなみに、2秒以上画像を注視すると、運転者が危険を感じるという研究結果もあります」

運転中に着信音がなっても、やはり見ずにいた方がよいのだろうか。

「着信音がなった時に画面を一瞥して、誰がかけてきたのかを確認するのみでは、直ちに道交法のいう『注視』に該当することはありません。しかしながら、安全のためには、自動車を停止させない状態で、誰がかけてきたのか画面を確認することは控えておくべきだと思います。

また、画面を確認した後、通話ボタン等のボタン操作を行った場合には、当然ですが『通話のために使用』した行為として違法となります」

では、手で持たずに通話をすれば問題ないのか。たとえば、ハンズフリーマイクを使う、あるいは、スピーカー機能を使った通話であれば、問題はないのか。

「条文上は、『その全部又は一部を手で保持しなければ送信及び受信のいずれも行うことができないものに限る』とされています。ハンズフリーマイクを使う、あるいは、スピーカー機能を使った通話は規制対象となりません。ただし、当該機能を使用して事故を起こした場合には、道交法70条の安全運転義務違反となり、罰則もあります」

スマホの地図アプリをナビがわりにするケースもありそうだ。

「カーナビが設置されている運転席前方付近に、大きいサイズのスマートフォンやタブレットを置き、ナビ代わりにスマートフォンの地図アプリ等を確認する行為は、ちらっと画像を見て位置情報を確認する限りにおいては、『注視』に該当しません。

ただし、小さいサイズのスマートフォンで、地図を拡大する等の操作を行うような場合には、その操作のため、画像を見続けなければならないことになり、これは『注視』に該当することになります」

●渋滞でノロノロ運転の場合でもダメ?

道交法71条5号の5に書かれる「停止」には、赤信号停車中や、ノロノロと時折動き出すような渋滞中は含まれるのだろうか。

「『停止』とは、車輪の回転が完全に止まることを意味するため、ノロノロと時折動かしながら、携帯電話で通話をした場合には、道交法71条5号の5違反となります。

条文上は、『停止』と規定されており、『停車(道路端に車を停める等)』とは規定されていませんので、赤信号で完全に車が停止しているときに、携帯電話で通話をする行為は、道交法71条の5号の5違反となりません。

しかし、赤信号が何分も続くということはまずありませんので、通話中に信号が青に変わり、車を発進させると、当然のことながら『停止』中の通話とはなりませんので、これもまた道交法71条5号の5違反となります。

どうしても通話しなければならない事情があるのならば、やはり安全な場所で停車した上(車を完全に「停止」させた状態)で、落ちついて携帯電話の通話をすべきだと思います」

この他、注意したほうがよいことはあるのか。

「スマートフォンでニュースを見聞きする行為やメール等のメッセージを送る行為も、画像を『注視』する行為に該当することになりますので注意が必要です。

私が取り扱う事故では追突事故もかなりの数があり、スマートフォン等の使用による、よそ見運転が原因となっているものも少なくありません。アプリのゲームに集中して、深刻な被害を出したという事故も発生していますので、当たり前のことですが、運転中は携帯電話の操作は行わないという意識が必要ではないかと思います」

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

中川 龍也
中川 龍也(なかがわ たつや)弁護士 中川龍也法律事務所
立命館大学卒。平成22年弁護士登録(京都弁護士会所属)平成28年11月に中川龍也法律事務所を設立。主な取り扱い分野は交通事故(主に被害者側)事件。

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