車を運転しているとき、自転車が突然ふくらむように車道に入り込み、ヒヤッとした経験はないだろうか。こうした運転は「膨らみ運転」と呼ばれている。
イーデザイン損保が自動車と自転車ユーザー各250人を対象におこなった調査によると、自動車ユーザーの75.6%が危険・迷惑だと感じている一方、自転車ユーザー69.6%が膨らみ運転せざる得ない時があると答えており、両者の認識のギャップが浮き彫りになっている。
そんな中、来年4月からは自転車に反則金制度が導入される予定で、自転車運転に対するルール遵守はこれまで以上に求められる。自転車の「膨らみ運転」に対する法的責任について、山本明生弁護士に聞いた。
●来年4月からは反則金の対象になり得る
──「膨らみ運転」は法律違反になりますか。
道路交通法17条1項および4項によれば、自転車は車道の左側部分を通行するのが原則とされています。
したがって、自転車が左折するときや直進走行時において、大きく車道中央に膨らむような運転(膨らみ運転)をすることは、同条項違反となる可能性があります。
また、同法26条の2では、後続車などの速度または方向を急に変更させるような進路変更を禁止していることから、運転の態様によっては、同条項に反する可能性があると思われます。
──来年4月から導入される予定の反則金の対象になりえますか。
この制度の対象は「ながらスマホ運転」や信号無視など、さまざまですが、通行区分違反もその対象とされています。
先ほど述べた通り、膨らみ運転は通行区分違反の可能性がありますので、制度の対象となると思われます。
なお、通行区分違反の反則金は6000円(予定)となっています。
●やむを得ない場合は十分な安全確認を
──多くの人が「やむを得ない時がある」と感じています。どうしてもしなければいけないときの注意点を教えてください。
自転車は車道左側部分を通行するのが原則です。しかし、車道左側に停車車両や歩行者がいるなど、やむを得ない事情がある場合には、必要最小限の膨らみ運転は違反にならないと思われます。
ただし、その場合でも、後続車を確認したうえでゆっくりと膨らんだり、ハンドサインを出して後方車両に意思表示をしたりするなどして、十分な安全確認をしたうえでおこなうべきでしょう。
──自転車と自動車、両者のこのような不和はどうすれば解決するでしょうか。
まずは、自動車側が「自転車は原則、車道を通行することとなっている」ことを十分に認識・把握することが必要でしょう。そのうえで、自動車側が急ぐ気持ちを抑え、安全第一で走行するという意識が大切です。
一方、自転車側も、あくまで車両であり、交通法規を遵守する必要があるということを改めて理解することが必要でしょう。そして自動車と同じように安全第一で走行するという意識が大切です。