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「十分な注意が必要」ノーリードで犬飼育、ペット専門弁護士がリスクを解説
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「十分な注意が必要」ノーリードで犬飼育、ペット専門弁護士がリスクを解説

犬のストレス解消やしつけの一環として、リード(引きひも)を使わない「ノーリード」で飼っている人は少なくない。しかし、許可されていない場所でリードを外していたことで、トラブルになる可能性もある。ニュースサイト「産経WEST」の人気コーナー「衝撃事件の核心」では3月8日、こんな事例が紹介されていた。

大阪市の路上で2014年、急に走り出したノーリードのトイプードルが、親子2人が乗る自転車に衝突し、母親が骨折、娘が打撲を負う事故があった。親子は約450万円の損害賠償を求めて訴訟を起こし、飼い主側が300万円を支払うことで和解が成立した。

ノーリードの危険性については以前から指摘されているが、法的にはどのような問題があるのだろうか。ペット問題に詳しい渋谷寛弁護士に聞いた。

●条例で禁止されているケースがほとんど

「犬を自然のままの走らせたいと願い、うちの犬は絶えず側にいるので暴走などしないと信じている飼い主にとっては、散歩中常にリードでつないでおく必要はないと思えるかもしれません。広い公園や河原でノーリードで遊ばせていることもあるようです。しかし、ノーリードの状態が原因で事故を起こす例は後を絶ちません」

どんな事例があるのだろうか。

「檻から抜け出したシェパードが路上へ飛び出し、原動機付自転車と接触して運転手に骨折などの傷害を負わせたケースでは、飼い主に307万円の賠償命令が出されました(最高裁判所昭和56年11月5日判決)。砂浜で闘犬を逸走させ、散歩中の人に噛みつき溺死させたとして、懲役2年6月と罰金20万円の刑罰が科された事例(札幌地方裁判所苫小牧支部平成26年7月31日判決)などもあります。

ノーリードによる事故が多いことから、各地の自治体では、散歩する際のリード等の着用を義務付けることがほとんどです。東京都の条例では、散歩に関して『犬を制御できる者が、犬を綱、鎖等で確実に保持』しなければならないとしています(東京都ペット条例第9条1号ニ)。これに違反して犬を飼養し又は保管した者は、拘留又は科料の罰則が適応されることがあります(同条例第40条1号)。

リードをつけさえすればいいということではなく、体力のない人が大型犬を散歩する際はコントロールが効くかどうか確認する必要があります。リードが切れないか、つなぎ目の器具が壊れないかなど、日ごろから点検する必要もあるでしょう。小型犬だったとしても、飛び出してきた犬に驚いて自転車がバランスを崩すことはありうることです。


他人に怪我を負わせた場合は多額の賠償を支払うことになったり、警察沙汰になることもありますので十分に注意しましょう」

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

渋谷 寛
渋谷 寛(しぶや ひろし)弁護士 渋谷総合法律事務所
1997年に渋谷総合法律事務所開設。ペットに関する訴訟事件について多く取り扱う。ペット法学会事務局長も務める。

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