仕事をしている18歳の社会人が有料の講習などに参加する場合、親の同意は必要なのでしょうかーー。こんな質問が、弁護士ドットコムの法律相談コーナーに寄せられました。
投稿者は社会人として働く「自立している18歳」だというが、あくまでも未成年であるため、講習などの参加等に親の同意が必要なのかどうか気になっているという。
このような場合、親の同意は必要なのだろうか。仮に親と別居して、自費で生活していても、未成年という扱いは変わらないのだろうか。山田智明弁護士に聞いた。
●社会人と学生に違いはある?
「未成年者が『法律行為』(単に権利を得、義務を免れる法律行為を除く)をするには、親権者等の法定代理人の同意が必要とされています(民法5条1項)。相談に寄せられた例のような有料の講習では代金支払義務も発生します。そのため、親権者等の同意が必要となり、同意がない場合は取消権を行使できます(民法5条2項)。
もっとも、一定の目的(勉学や旅行等)を定めた財産や、目的を定めず処分を許した財産(例えば小遣い等)を使う場合については、同意が不要とされています(民法5条3項)」
同じ18歳でも、社会人と大学生とでは、社会的な位置づけは異なるように思うが、法的にはどう判断されるのだろうか。
「法律上は、この保護の対象となるのは『未成年者』と規定されており、社会人と学生とを特段区別しておりませんが、実際の適用場面では違いが生じ得ます。
例えば、自費で生活している社会人の場合は、その範囲内であれば、処分を許した財産(使ってもよい財産)と判断される場合が多いと思います。また学生でも、アルバイト代の範囲内の支出であれば、同様の場合が多いと思います。もっとも、その判断が難しい場合は、念のために同意を得るのが無難です」
今回のケースで言えば、社会人である相談者は、給与の範囲内であれば、親の同意なく契約が可能なのだろう。ただ実際には、未成年者が契約する際には、親の同意を求める事業者が多いのかもしれない。
親権者とは、父母のどちらかで構わないのだろうか。
「親権者の同意とは『親権は父母が婚姻中は、父母が共同してこれを行う』(民法818条3項)ことです。両親が婚姻中の場合、両親双方の同意が必要です」