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℃-ute岡井さん、両親が貯金を「ゲーム課金」で使っていた! 返してもらえるの?
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℃-ute岡井さん、両親が貯金を「ゲーム課金」で使っていた! 返してもらえるの?

アイドルグループ「℃-ute」メンバーの岡井千聖さん(21)が10月中旬、フジテレビ系の音楽番組に出演した際、両親が自分の貯金を使い尽くしていたことを告白した。しかも、その使途が「ゲームの課金」だったと明かし、波紋をよんだ。

℃-uteは今年で結成10周年。番組MCの恵俊彰さんが「デビュー前の自分に伝えたら驚くことは?」というテーマで出演者に質問すると、岡井さんは「家族と話し合わないと大変なことになるよ、というのを今伝えたい」と発言。「最近になって気づいたんですけれど、貯金がちゃんとされてなかったんですよ」と語り始めた。

岡井さんは「芸歴10年を超えていて、いろいろなものを(両親に)預けていた」という。どうやら、金銭管理を親に任せていたようだが、実際はきちんと貯金がされていなかったようだ。「何に使っていたのかなーと思ったら、ゲームの課金とか。当時の自分に、早くそのことに気づけって」と話し、他の出演者を驚かせていた。

岡井さんの告白はネット上でも話題になり、「生活費ならわかるけどゲームってとこが凄いな」「犯罪にならないの?」などのコメントがみられた。両親が子どもの財産を「ゲームの課金」といった娯楽のために無断で使うことに、法的な問題はないのだろうか。また、お金を使われた子どもは、親に対して「使った分を返して」と要求できるのだろうか。吉田要介弁護士に聞いた。

●「ゲーム課金」に使われたお金は返してもらえる?

「子が未成年の場合、親権者である親は、子の財産を管理・処分することができます」

吉田弁護士はこのように語る。

「もっとも、好き勝手に子の財産を管理・処分できるわけではありません。子の利益のために、自己のためにするのと同一の注意をもって行わなければなりません。

この注意義務に違反すると、親は財産管理権を失うこともありますし、子に損害が生じた場合には、損害賠償義務を負うことがあります」

子どもの財産を、親が「ゲーム課金」に使っても問題ないのだろうか?

「娯楽のために子の財産を使うことは、一切許されないわけではありません。

たとえば、子の財産を使って家族みんなで遊園地に行くような場合は、その娯楽が子の利益にもなっていると言えるでしょう。このような場合は、娯楽に子の財産を使っても、注意義務には違反しておらず、子に損害が生じたともいえないので、許される場合もあると思われます。

もっとも、子の財産を『ゲーム課金』に使うことは、通常、子の利益にならない行為ですから、財産の管理における注意義務に違反するものと思われます」

では、子どもは、課金した分の金額を、親から返してもらえるのだろうか?

「子の財産が『ゲーム課金』に使用されれば、課金した額について、子に損害が発生しますから、親は課金した額についての損害賠償義務を負うことになるでしょう。子は、親に対して、損害賠償義務の履行として『ゲーム課金』で使われたお金の返還を求めることができます。

なお、子の財産の管理に関する損害賠償請求権は、子が成人してから5年で時効になります。仮に、不法行為に基づく損害賠償請求だとしても、消滅時効の期間は、損害と加害者を知ったときから3年です。

岡井さんは21歳ということですし、貯金が両親に使われているのを知ったのは最近ということですから、使われたお金を返してもらえることになると思います」

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

吉田 要介
吉田 要介(よしだ ようすけ)弁護士 ときわ綜合法律事務所
千葉県弁護士会所属。日弁連子どもの権利委員会事務局次長、千葉県弁護士会刑事弁護センター委員。法律を「知らないこと」で不利益を被る人を少しでも減らすべく、刑事事件、少年事件、家事事件、一般民事事件等幅広く手がけ、活動している。

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