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田舎道で「タヌキ」をひいてしまった! 車の運転手に「法的責任」はあるか?
いきなりタヌキが走り出てきたら、車をとっさに止められないかもしれない

田舎道で「タヌキ」をひいてしまった! 車の運転手に「法的責任」はあるか?

年末年始の帰省で、慣れない田舎道を運転するのが不安だという人もいるだろう。人身事故が怖いのはもちろんだが、山間部に生息している野生動物をはねるのも避けたいものだ。

インターネットの掲示板には、「かなりの田舎」に住んでいる人が、「朝になると交通量の激しい道路では車に跳ねられた野生の狸などが道路に転がっています」として、野生動物を車ではねてしまった場合の、運転手の責任について相談していた。

タヌキやキツネなどの野生動物をはねてしまった場合、何らかの法的責任が生じるのだろうか。猫や犬などをはねてしまった場合と違いがあるのだろうか。森本明宏弁護士に聞いた。

●法的な責任はあるのか?

「自動車で人をひいてしまった場合には、(1)懲役や禁錮、罰金等の刑事責任(2)免許停止や取消等の行政上の責任(3)被害者や遺族に対する治療費や慰謝料の支払いなどの民事責任、という3つの法的責任を負うことになります。

しかし、野生のタヌキやキツネを不注意でひいてしまった場合は、ほかに飲酒運転などの交通違反がない限り、刑事罰や行政上の処分はありません。被害者(所有者)がいないので、民事責任を負うこともありません」

猫や犬とは違うのだろうか。

「猫や犬も、野生の場合は同じです。しかしペットの場合、事故を避けることが不可能だったなどの事情がない限り、運転手は、飼い主に損害を賠償する義務を負うことになります」

賠償額はどうなるのだろう。

「ケースにもよりますが、リード(引き紐)がついていなかった場合、飼い主側の不注意が考慮され、同種のペットの購入金額から相当程度、減額された額になることが多いでしょう」

森本弁護士はこう説明する。

「いずれの場合であっても、動物の死骸を道路上に放置したままにしておくと、さらなる事故につながることもあり、大変危険です。

市役所などに報告して、動物の死骸の回収をお願いするといった適切な対応を取ることが必要です」

森本弁護士はこのように締めくくった。

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

森本 明宏
森本 明宏(もりもと あきひろ)弁護士 四季法律事務所
愛媛弁護士会所属(2002年弁護士登録)。2010~2011年度、愛媛弁護士会副会長。2020年度、愛媛弁護士会会長。日本スポーツ法学会会員。

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