「花火が見えなかった」「返金ものでは?」
10月24日、東京港・晴海埠頭沖で開催された「東京湾大華火祭」。晴海や芝浦、お台場、豊洲、有明など東京湾岸に有料観覧会場が設けられ、多くの観客が訪れた。
ところが、大会終了後、SNSでは有料チケットを購入したにもかかわらず、花火が十分に見えなかったという不満が相次いだ。投稿された写真や動画には、花火が雲や煙に隠れてしまった様子が映っていた。
主催者の中央区と港区は10月27日、弁護士ドットコムニュースの取材に対し、実行委員会のコールセンターに「見えにくかった」などの問い合わせが寄せられていることを明らかにした。
一方、チケット料金は払い戻さない方針だ。主催者側は「1時間半の打上げを通して、まったく見えなかったという状況は発生していないと認識しております」と説明している。
●「煙で見えにくかった」「途中で帰った」
中央区地域振興課によると、港区には10月27日午前11時までに、電話3件、メール2件の計5件の問い合わせが寄せられた。
内容は、「天候の影響で見えづらく、途中で帰った」「煙で見えにくかった」などだったという。
中央区にも10月26日までに電話1件、メール2件の計3件、実行委員会のコールセンターには5件の問い合わせがあった。
こちらには「構造物が前にあり見えにくかった」「雲と煙で見えなかった」などの声が寄せられたという。
なお、チケットの注意事項では、施設内の構造物や樹木、斜面などによって「場所によっては一部見えづらい場合があります」と説明し、「座席の変更や返金対応などは行いません」と明記していた。
●雲の高さは予測できず、開催を決定
大会当日の東京湾岸は、花火を見るには厳しい気象条件だった。
気象庁の観測記録によると、東京都では当日午後6時に雨が観測され、湿度は99%、視程は3キロ。空はほぼ全面を雲に覆われていた。
もっとも、花火大会は小雨でも開催されることが珍しくない。
たとえば江戸川区花火大会では通常の雨天なら開催し、風速7メートル以上の風が10分程度続く場合や、大雨・洪水・暴風警報が発令された場合などを中止基準としている。
では、今回の大会はどのような判断で開催されたのか。
中央区は「開催可否については、気象に関する情報を総合的に確認した上で、観覧客の安全に問題がないと判断したため、開催いたしました」と説明した。
そのうえで、次のように回答した。
「雲の高さについての予測については把握できておりませんでしたが、風速については、随時モニタリングしており打ち上げ時間中にもある程度の風速があると見込んでおりました」
一方、当日の気象条件によって花火が見えづらくなる可能性については、事前に来場者へ周知していなかったという。
その理由について、中央区はこう説明する。
「気象情報は確認しておりましたが、実際の雲や煙、風の影響により各会場からどの程度花火が見えるかを正確に予測することは困難と考えております。そのため、その可能性の周知はしておりません」
●払い戻しなし「まったく見えなかった状況は発生していない」
SNSでは、チケット料金の払い戻しを求める声も上がった。
しかし、中央区は払い戻しを予定していないと回答。その理由について、次のように説明した。
「1時間半の打上げを通して、まったく見えなかったという状況は発生していないと認識しております」
さらに、予定していた1万2000発の花火をすべて打ち上げたことも、払い戻しをしない理由として挙げた。
チケットの注意事項では、購入後のキャンセルや返金について「理由を問わず一切受け付けておりません」と明記されている。
大会が中止となった場合にはチケット本体料金のみを払い戻すと定められているが、今回は予定通り開催されたことから、返金の対象にはならないという判断だ。
●今後の運営は検討も…開催判断の基準は変更せず
今回のように、花火が打ち上げられても気象条件によって十分に見えない事態をどう防ぐのか。
今後、開催判断や観覧席の設定などを見直す考えがあるのか尋ねたところ、中央区は次のように回答した。
「次年度以降の開催は未定ですが、開催する場合は、今回の結果を踏まえ、運営方法を検討してまいります。
なお、開催判断の基準は、東京都の煙火消費基準等も参考にしているため、現在のところ変更する考えはございません」