「無料のお茶だから、何杯飲んでもいい」
そう考える人は少なくありません。しかし、無料サービスを提供する飲食店側は、悩みを抱えているようです。
暑い季節、冷たい麦茶の無料サービスはうれしいものです。一方、Threadsでは、飲食店を営む人から「1人あたり1リットル以上飲むグループ客がいる」「飲み物も販売しているのに、おかわりだけで何リットルも飲まれる」といった困惑の声が投稿され、注目を集めています。
投稿には、「暑いからつい飲んでしまう」「制限を設けても仕方ない」などさまざまな反応が寄せられています。無料サービスとはいえ、客が際限なく麦茶を飲み続けることに法的な問題はあるのでしょうか。
飲食店を経営し、飲食業界の問題にもくわしい石崎冬貴弁護士に聞いた。
●おかわり無料は「常識的な範囲で」と解釈する
──無料サービスとはいえ、客が店の想定を大きく超える量の麦茶を飲み続けたり、何度もおかわりを求めたりすることは、法的に問題となる可能性はありますか。
飲食店では、店が飲食物を提供し、客がその対価を支払うという内容の契約が成立しています。
ただし、大規模なパーティーなどでない限り、契約内容を細かく確認したり、契約書を作成したりすることは通常ありません。そのため、具体的な契約内容は、個々の事情を踏まえ、合理的に双方の意思を推測するしかありません。
たとえ「おかわり無料」と表示されていても、それを文字どおり「無制限に飲める」という意味だと考える人はいないでしょう。「おかわり無料」とは、「常識的な範囲で無料」という意味だと解釈するのが自然です。
したがって、客が店の想定を大きく超える量の麦茶を飲み続けようとした場合、店は提供を断ることができます。そのことを理由に、客が「契約違反だ」などと法的責任を追及することは難しいでしょう。
●条件やルールを店に明示してトラブル防止を
──おかわりを断ると、トラブルに発展する可能性もありそうです。店側にはどのような対応が求められますか。
店に法的な責任がないとしても、トラブルそのものは避けたいところです。
最近はインバウンド客も増え、「常識的に考えたらわかる」という前提が必ずしも共有されているとは限りません。
今回であれば、「無料のおかわりは◯杯まで」「◯分以内は無料」「◯円以上のオーダーをしていただいた方が対象」など、無料サービスの条件やルールをあらかじめ明示しておくことが、トラブル防止につながるでしょう。