医療観察法の施行から今年で20年となるのに合わせ、同法の廃止を求める院内集会が12月3日、都内で開かれた。会場では、同法に基づいて強制入院させられた当事者が「医療観察法は虐待以外の何ものでもない」とうったえた。(弁護士ドットコムニュース・一宮俊介)
●池田小学校事件がきっかけに制定
医療観察法は、殺人などの重大事件を起こした後、心神喪失や心神耗弱と判断されて不起訴や無罪になった人を医療機関に強制入院させたり、通院させたりできるようにした法律。
2001年6月、宅間守元死刑囚(2004年に死刑執行)が大阪府池田市の大阪教育大学附属池田小学校に侵入し、児童らを殺傷した事件をきっかけに制定され、2005年7月に施行された。
12月3日の集会は、衆院第2議員会館で開かれ、「心神喪失者等医療観察法をなくす会」と「認定NPO大阪精神医療人権センター」、「心神喪失者等医療観察法(予防拘禁法)を許すな!ネットワーク」の3団体が共催した。
●10年以上の入院も、「人為的に死に追い込まれている」
最初に登壇した池原毅和弁護士が「施行20年目 逆走を続ける医療観察法」と題して講話した。
池原弁護士は、医療観察法における入院期間の全国平均が1228日に達し、ガイドラインで示された180日の「6〜7倍」になっていると指摘。10年以上入院しているケースもあるとし、次のようにうったえた。
「(入院患者の)心の中にまで忍び込んだ支配が徹底している。病院側から言われる前に『私はこうしたいです』と言うようになれないとダメな状況になっているのは、人間を崩壊させる。人為的に死に追い込まれている。治療といいながら虐待などが実際に行われていることを、一般の人に知ってもらう、目に見える形にすることが大事だと思う」
●「医療観察法は虐待」当事者が語る現実
集会では、実際に医療観察法に基づいて強制入院を経験した当事者や、子どもが強制入院した家族も体験を語った。
東京都と北海道の病院に入院させられたという男性は、外部からの手紙を自由に受け取れなかったことなどを紹介。「人を疑うと、統合失調症の症状を疑われて退院できないと脅される。こういう実態をいつか話せると信じて耐えてきた。医療観察法でおこなわれているのは虐待以外の何ものでもない」と述べた。
また、息子が強制入院しているという男性は、事件に関する事実認定が重要視されず、本人の症状ありきで医療観察法が適用されたことなどを問題視。「医療観察法は適切な医療と社会復帰を目指すのが目的のはずだが、現在まで担当医の処方は社会復帰を目指すものとはいえない医療処置です。ただ病院に入れておくだけの刑罰に等しい、薬を使った虐待です」などとうったえた。
医療観察法に反対するこれまでの活動を振り返る有我さん(2025年12月3日/東京都千代田区で/弁護士ドットコムニュース撮影)
●「ようやく当事者の声がではじめた」
大阪精神医療人権センターの有我譲慶さんは、医療観察法の立法時から反対する動きがあったことを振り返りつつ、「施行から20年が経って、ようやく当事者の声が出てきはじめた」と強調。法の廃止を改めて呼びかけた。