「差別的な判決に呆然とした」「法廷でここまで尊厳を傷つけられたのは初めて」
性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審判決。
東京高裁(東亜由美裁判長)が11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断したことを受けて、都内で同日、会見を開いた原告からは裁判所に対する憤りの声が上がった。
弁護団も「性的マイノリティに対する誤解と偏見に満ちていて、当事者や社会の変化をまったく見ていないと言わざるを得ない、特異な判決」と厳しく批判した。(弁護士ドットコムニュース編集部・猪谷千香)
●「私たち家族が裁判所に否定された」
判決は、婚姻制度について「一組の夫婦とその子」を基本単位とする制度設計の下に構築されてきたと指摘。その設計自体は、なお合理性を持ち、100%近くの子どもが夫婦の子として養育されているとした。
原告の多くが「ショックを受けた」と述べた。
原告の一人、一橋穂さん(仮名)は「怒りに震えて涙が出ました」と語った。一橋さんはトランスジェンダー男性で、パートナーとともに子育てをしているという。
「こんな判決が出るとは本当に夢にも思っていませんでした。判決を聞きながら頭の中が真っ白になって、一生懸命最初からメモを取っていたんですけれども、手が止まってしまうぐらい本当にショックでした。
判決文を読んだら、ありえないことがたくさん書いてあって、 中でも家族がその男女のカップルと、そこから生まれた子どもがほぼ100%だとありました。
そんな数字まで出してきて、裁判官は何が言いたいんだろうって。そういうふうな家族が普通とまで判決に書かれちゃうんですよ。 裁判官、司法がそんな言葉を述べることが信じられないです。私たち家族のあり方が否定されたと思いました。
これは国の問題であって、私たち自身に問題があるわけじゃない。心が折れそうですけども、またみんなで進んでいけたらと思っています」
●「論理的におかしい判決」
弁護団も判決を厳しく批判した。沢崎敦一弁護士は、原告側の主張と判決が噛み合っていないと指摘した。
「私たちは、現行の婚姻届の制度で嫡出子として生まれた子とその家族の保護があること自体に問題がある、不合理だとは言っていません。
同じような制度を同性のカップルが利用できない、つまり排除されていることが不合理だって言ってるのに、判決文では、排除されていることの不合理性についてはまったく検討されていません。『現行制度が合理的です』ということに終始して論を進めています。
これがこの判決の非常に論理としておかしいところかなと思われます」
●「差別の歴史や実態に理解がない判決」
また、上杉崇子弁護士も、次のように指摘した。
「同性カップルが子育てをすることに対する偏見がすごくにじみ出ているようにも感じました。 また、子どものいない異性夫婦についても、本当に軽視しています。 まるで典型的ではないというようなメッセージまで含まれているような差別的な判決文だと思います。
もう一つ、特徴的だなと感じたのは、同性カップルからなる家族というのが、新たに社会的承認を受けたものであるとされており、その法制度を創設するのは、いろいろ議論が必要だと述べています。
しかし、もう昔から同性カップルは存在していますし、社会的承認を受けてこられなかったのは、我々の社会が異性愛や異性カップルだけが自然で正常で、それ以外は異常だという差別的な認識が長い間、世界中で共有されていたためです。
そのような差別の長い歴史があったから、社会的承認を受けられないし、婚姻制度がないから社会的承認はさらに受けられない。ところが、判決文は、社会的承認がないことをまるで同性カップル、同性愛者の責任のように言っています。
性的マイノリティが置かれていた過酷な差別の歴史や差別の実態に対する理解が欠けている、未熟で特異な判決だと思います」
●最高裁に判断を委ねる
同性婚訴訟は全国で展開しており、東京1次訴訟を含む5つの高裁では「違憲」と判断されている。今回、6つの控訴審の中で初めて結論が割れたかたちだ。
原告側は今後上告し、最高裁に判断を委ねる。