ゴミ集積所や処理施設で大金が発見されたというニュースが時折、報じられます。
最近でも、群馬県前橋市のごみ集積所で、現金600万円が発見されたと報じられました(読売新聞8月5日付など)。報道によれば、7月8日午後、市から委託されたごみ収集業者の職員が、ごみ回収作業中に現金を発見したようです。
翌日(9日)、業者の職員と業者から連絡を受けた前橋市役所の職員が一緒にこの現金を前橋警察署に届けたとのことです。
この600万円は誰のものなのでしょうか。市は「持ち主がみつからなかった場合、市が所有権を得る」としているようですが、それはなぜなのでしょうか。坂口靖弁護士に聞きました。
●見つかった現金は「遺失物」として扱われる
——今回は、ゴミ集積所で多額の現金が見つかっていますが、この現金は法的にはどのような扱いを受けるのでしょうか?
所有者不明の現金が発見されたような場合には、民法や遺失物法という法律が適用されることとなります。
この点、民法240条には、「遺失物は、遺失物法(平成十八年法律第七十三号)の定めるところに従い公告をした後三箇月以内にその所有者が判明しないときは、これを拾得した者がその所有権を取得する。」と規定されています。
したがって、遺失物を警察等に届出をし、遺失物である現金に関する公告(物件の種類及び特徴や物件の拾得の日時及び場所等を掲示)等必要な措置をした後3か月が経過した場合には、拾得者がその現金を取得することになります。
●「市が所有権を得る」という市の発表の理由は?
——市の発表によれば、「持ち主がみつからなかった場合、市が所有権を得る」とのことです。これは何故そうなるのでしょうか?
報道によれば、本件では、市の施設であるごみ集積場にて、市の委託によりごみ収集業務等をしている中で現金を発見したというものであり、市の履行補助者が業務上市の施設内にて現金を拾得したという内容となるものと考えられますので、市が施設占有者として本件現金を拾得したものと評価できるものと考えられます。
したがって、当該現金の持ち主が発見されなかった場合には、市が拾得者としてその現金を取得するということになるものと考えられます。