日本弁護士連合会(日弁連)は3月18日、2月21日に公表された「基本的法制度に関する世論調査」における死刑制度の調査結果について会長談話を発表した。
渕上玲子会長は談話の中で、政府に対し「世論調査の結果を表層的に捉えて死刑制度の廃止に関する国民的議論を回避するのではなく、死刑制度に関する情報公開を進め、国民的議論を喚起する施策を講ずるべき」と強く要請している。
●単純な二項対立で評価することは「不適切」
今回の世論調査では「死刑は廃止すべき」との回答が16.5%、「死刑もやむを得ない」との回答が83.1%となったが、日弁連は「この両者の数字だけに着目すると、国民の大半が死刑制度の存置に賛成しているかのように見える」と指摘。
「やむを得ない」回答者の中にも将来的な廃止を容認する声が多く含まれていることから、単純な二項対立で評価することは「不適切」だと訴えている。
日弁連は「死刑制度の廃止は国際的な潮流」と強調し、国連自由権規約委員会の勧告や、「日本の死刑制度について考える懇話会」の昨年11月の提言を踏まえ、以下の具体的措置を求めている。
1.死刑制度に関する根本的な検討を任務とする公的な会議体の早急な設置
2.1〜2年の短期間での集中的検討と死刑廃止に向けた立法措置
3.検討結論が出るまでの間の死刑執行停止
日弁連は2016年から死刑制度廃止を求める立場を表明しており、特に「袴田事件」など死刑再審無罪事件を例に挙げ、死刑執行による取り返しのつかない人権侵害の防止を訴えている。