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美大生に執拗に迫る「ギャラリーストーカー」、武蔵美「芸術祭」で本気の対策…SNSでは「素晴らしい」と大絶賛
武蔵野美術大学芸術祭(松野さん提供)

美大生に執拗に迫る「ギャラリーストーカー」、武蔵美「芸術祭」で本気の対策…SNSでは「素晴らしい」と大絶賛

画廊や展示施設で作家につきまとう「ギャラリーストーカー」。芸大・美大内でおこなわれる展示でも、学生が被害に遭うケースがあとを絶たない。

10月27日からはじまった武蔵野美術大(東京都小平市)の「芸術祭」では、こうした被害を防ぐために、有志の学生が「ギャラリーストーカー対策委員会」を立ち上げた。

「展示会場では2人以上で行動すること」「見通しの悪いところでは一人にならない」など、具体的なアドバイスとともに注意を呼びかけている。

武蔵美の芸術祭公式アカウントや学生らがエックス(旧ツイッター)で、ギャラリーストーカー対策を投稿したところ、「素晴らしい取り組み」「展示する学生が安心できる」と賞賛の声が寄せられている。(弁護士ドットコムニュース編集部・猪谷千香)

⚫️「名刺には住所や電話番号を記載しないで」具体的に対策

「武蔵野美術大学 芸術祭 ギャラリーストーカー・不審者に関する注意とお願い」

芸術祭の公式アカウントなどから発信された呼びかけでは、近年、学内であった被害について説明されていた。

「学生に対して展示や作品と関係のない話を長時間にわたって一方的に話しかける」

「学生からプライベートや連絡先などを無理に聞き出す」

「学生への執拗なつきまとい」

「学生への卑猥な言動」

「学生への盗撮や写真撮影の強要」

こうした行為を見かけた場合は、運営側や警備に連絡するよう求めている。また、学生に対しては「名刺には住所や電話番号を記載しない」「プライベートなどを執拗に聞き出されたら、『大学のルールによりお答えできません』と断ってください」など具体的な助言をおこなっている。

これらの注意は、芸術祭の期間中に校内で放送されたり、ポスターやパンフレットに掲示したりしているという。

⚫️「自分の大学でも対策してほしい」と切実な声も

こうした対策をつくったのが、今年4月に学生有志が立ち上げたギャラリーストーカー対策委員会だ。中心的な活動をしている同大4年生、松野有莉さんはこう話す。

「これまで芸術祭や卒展など、学内の展示でギャラリーストーカーの深刻な被害があることはわかっていました。学生たちが安心して創作活動や展示などに励めるような環境づくりをするため、大学側とどう対策するか、話し合ってきました」

その第一歩として、今回の芸術祭で何か対策できないか、運営の学生や大学側と協議を重ねてきたという。

「自分自身も作家として生きていこうと決意したときでしたので、ギャラリーストーカーのような被害がなくならない美術業界を少しでも変えたいと思いました。一部の身勝手な人のせいで、作家と美術が好きな人とのコミュニケーションが取りづらくなることは嫌だという思いも強かったです」

エックスでこの対策が公開されると、絶賛の声があがった。中には、「自分の大学でも対策してほしい」という切実な声もあった。

松野さんは「今後は卒展なども予定されていますので、芸術祭の実績や反省をふまえて、対策を続けていきたいと思います」と話している。芸術祭は10月29日まで開催されている。

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