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元ジャニーズ橋田さん「ジュリー社長、僕たちの思いと向き合って」、 事務所との「架け橋になりたい」
橋田康さん(2023年5月26日、弁護士ドットコムニュース撮影)

元ジャニーズ橋田さん「ジュリー社長、僕たちの思いと向き合って」、 事務所との「架け橋になりたい」

元ジャニーズJr.で、俳優、ダンサーの橋田康さんが5月26日、東京・丸の内の日本外国特派員協会で記者会見を開き、児童虐待防止法の改正を訴えるとともに、元ジュニアたちの声をジャニーズ事務所に届けたいとの考えを示した。

会見では自身がジャニーズ事務所の創業者、ジャニー喜多川氏(2019年死去)から受けた性被害について語り、「ジャニーズ事務所には事実を認めて謝罪、対応することを求めたい。ジュリー社長、僕たちの思いと向き合ってください」と呼びかけた。

●「自分の価値は1万円なんだ」

橋田さんがジュニアとして活動を始めたのは1998年4月(当時12歳)で、約1年後、公演で訪れた宿泊先のホテルで初めて性被害を受けたという。橋田さんは、その時の出来事を次のように話した。

「深夜眠りについていると、かけたはずのドアのロックが開き、ジャニーさんが入ってきました。すぐに私のベッドに入ってきて、『マッサージ』が始まりました。

混乱していて、どうしたらいいかわからないまま身体が固まりました。私は性体験や性の知識もなかったので、何が起きているのか分かりませんでした。そのままジャニーさんに口淫されました。この間、ジャニーさんはずっと無言でした」

行為が終わってジャニーさんが部屋からいなくなると、すぐに起き上がってシャワールームに行ったという。「体を洗い流しているうちに、涙が自然と出てきて止まらなくなりました」。

翌朝、喜多川氏に呼ばれて近寄ると1万円を手渡しで渡されたという。橋田さんは、「その時、自分の価値は1万円なんだと感じました」と当時の心境を語った。

また「理解してもらうのは難しいかもしれないが」と前置きした上で、喜多川氏について「今でもプロデューサーとしての才能のすごさを感じており、尊敬もしている」と複雑な思いがあることにも言及した。

実名・顔出しで過去の性被害を話すことについて、橋田さんは「今後芸能活動をしていく上で性被害にあった人だと思われてしまうリスクがあることは十分に承知しています」としたうえで、次のように話した。

「こうして皆さんの前でお話しするのは、ひとえにお世話になったジャニーズ事務所のこの問題が早く終結し、新しいスタートを切ってもらいたいから。そして日本の芸能界とエンターテインメントがより良い方向に向かっていい場になることを願ってのことです」

●今後の活動における「2つのビジョン」

橋田さんは、今後の活動におけるビジョンについて、次の2点を挙げた。

1つ目が、児童虐待防止法の改正だ。橋田さんは「自分が経験した環境も含めて考えると、現在の児童虐待防止法は子どもたちを守るのには十分ではない」と感じたという。

「現行の児童虐待防止法では、保護者が18歳未満の児童に行う暴行・わいせつ行為などを児童虐待と定義していますが、ここでいう保護者は親権を持つ親に限定されているということが分かりました。

今、提案されている法案では、その対象が第三者に広がります。たとえば、部活動や塾など、子どもたちを育てる場での地位に基づく影響力を持っている人物も対象になります。エンターテインメントの世界でも、芸能事務所の幹部は対象になるという議論がなされています」

法改正議論のもう一つのポイントとして、経済的または社会的地位に基づく影響力のある第三者による性暴力がわいせつ行為が行われている場面を認識した場合、その見聞きした人による警察への通報を法的に義務化することを挙げる。

「見て見ぬふりを止めることが更なる被害の抑止につながると思っています。加害者のブレーキにもなって、新たな加害者を生まないことにもつながるとも思っています」

法改正に関して、橋田さんのほか、同じくジャニーさんからの性被害を訴えているカウアン・オカモトさん、二本樹顕理さん、志賀泰伸さんが発起人となり、署名を集めたいと考えているという。

2つ目が、元ジュニアの人からの声を集め、ジャニーズ事務所との架け橋になり、橋田さんがその声をまとめてジャニーズ事務所に届けることだという。

「現在、ジャニーズ事務所はこの件に関して相談窓口を設置すると説明しています。しかし、直接ジャニーズ事務所には相談しにくいという声も聞こえてきています。この性加害問題を放置してあいまいなままにはしておいてはなりません」

声を集める具体的な手段として、相談窓口となるホームページとメールアドレスを準備したといい、橋田さんは「実際に被害に遭った方々はこちらにご連絡いただけたら」と呼びかけた。

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