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乳児死亡で「ベッドガードに欠陥」とメーカーを提訴…両親「安全性考えるきっかけに」
亡くなった男児の写真とともに会見する父親(2021年2月12日、東京都内、弁護士ドットコム撮影)

乳児死亡で「ベッドガードに欠陥」とメーカーを提訴…両親「安全性考えるきっかけに」

生後9カ月の男児が2017年8月にベッドガードとベッドマットの間に挟まった状態でみつかり、その後死亡が確認された事故で、ベッドガードの安全性が欠如していたとして、男児の両親が2月12日、ベッドガードの製造メーカー「KATOJI(カトージ)」を相手に、約9340万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴した。

2月12日に都内で会見を開いた男児の父親は、「子どもを守れなかった責任は自分たちにもあると思っているが、他の子どもが同じような目にあって欲しくない。裁判を通じてベッドガードの危険性を知ってもらいたい」と話した。

●製品の欠陥を主張「注意表示が不十分だった」

訴状などによると、ベッドガードは、事故の約2週間前の2017年7月26日頃、寝返りを打ち始めていた男児のケガを防ぐために購入。ベッドの横側に隙間が生じないよう注意しながら取り付けた。

事故当日の2017年8月8日、男児は自宅寝室のベッドの中央部付近で昼寝をしており、寝かしつけた母親は寝入っていることや呼吸に問題がないことを確認し、寝室を離れた。いつも起きる際は泣いて知らせるという男児の泣き声が聞こえてこず、「よく眠っている」と思ったという。

しかし、寝室を離れてから約2時間半後、男児の様子を見に行くと、ベッドガードとベッドマットとの間に身体が挟まっており、呼吸をしていなかった。すぐに119番通報したものの、同日死亡が確認された。

検視の結果、死因となった傷病名は「不詳」だったが、両親は挟まれて身動きが取れなくなったことにあると主張。使用したベッドガードは、(1)隙間への転落事故を誘発しやすい製品であり、「製造上または設計上の欠陥」がある、(2)ベッドガード本体に使用上の指示・警告表示がなく、取扱説明書の注意表示も不十分で「指示・警告上の欠陥」があるとして、製造メーカーには製造物責任法上の責任があると訴えている。

●父親「安全性考えるきっかけにしてもらえれば」

画像タイトル 事故当時使用していたベッドガード(2021年2月12日、東京都内、弁護士ドットコム撮影)

死亡事故について、父親は「製造メーカーの責任以前に、自分と妻が息子を死なせてしまったと感じている」と話す。

「危険性に対する認識が甘かった。子どもには本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです」(父親)

そんな思いの中でも、訴えを起こした理由について、「問題提起し、ベッドガードなどの安全性について、利用者もメーカーも考えるきっかけにしてもらいたい」と話す。

「ベッドガードそのものは需要があるとは思うので、そういった安全のための商品はあった方がいいです。

しかし、私のように、『ないよりあったほうがいい』という安全意識で、ベッドガードを購入する人も一定数いると思います。使うなら細心の注意が必要だということをとにかく知ってもらいたいです。

欧米などでは、ベッドに固定できるベッドガードしか販売されていないようです。日本メーカーの製品は、折りたためて運べるなどの利便性は高いですが、その分構造上の安全性が十分ではなかったのではないかと感じています。すべてのメーカーに製品の安全性について考えてほしいです」(父親)

●母親「幼い命が失われることのない世の中になれば」

母親は会見に出席しなかったものの、書面を通じて次のようにコメントした。

「多くの保護者は危険と隣り合わせの中、緊張感をもって子供の命を守り育てていると思います。私もその一人でしたが、私は、失敗してしまいました。

愛する我が子を苦しませてしまったこと、短い人生で終わらせてしまったことに、申し訳なさと情けなさでいっぱいです。

子供を死なせてしまった人生を生きていくことは、経験してみないと分からない暗闇です。今、一生懸命、子供の命を守りながら子育てをしている方々が、この暗闇を知らないで済むように、幼い命が失われることなく、その家族が平穏な暮らしを送れる世の中になればと思います。微力ながら、本訴訟が、その一助になることを願います」

●製造メーカー側のコメント

カトージは、弁護士ドットコムニュースの取材に対し、「詳細を確認中のため、現時点ではコメントできることはありません」と回答した。

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