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2020年11月26日 09時54分

エアアジアが破産、購入済みチケットは紙くずになってしまうの?

エアアジアが破産、購入済みチケットは紙くずになってしまうの?
エアアジア系列の旅客機(kanno34 / PIXTA)

愛知県中部空港を拠点とする格安航空会社のエアアジア・ジャパンが11月17日、東京地裁に破産手続きの開始を申し立てたことが明らかになった。負債総額は約217億円。同社はすでに東京地裁から財産の処分を禁じる保全管理命令を受けている。

同社は、新型コロナウイルスによる一時運休や利用客減少の影響を受け、経営状況が悪化。2020年10月には、4つの路線すべてを12月5日で廃止し、日本からの事業撤退を発表していた。

時事通信などの報道によれば、すでに販売した航空券の払い戻しには総額5億2000万円以上が必要で、保全管理人の弁護士は払い戻しについて国内外の出資企業に支援を要請する考えを示したものの、見通しは立っていないという。

航空券を購入した利用客にとってはショッキングな話だが、指をくわえて破産手続きを見守るしかないのだろうか。旅行法制・倒産法制に詳しい金子博人弁護士に聞いた。

●優先的な払い戻しを受けられるわけではない

——航空券を購入した利用客の権利は、破産手続きの中ではどのように扱われますか。

購入した航空券のフライトが実現しなければ、債務不履行として払い戻しを受ける権利は当然発生します。

しかし、破産手続きにおいては、この権利も一般の破産債権として配当を受けるだけとなります。消費者だからといって優先的に払い戻しを受けられるといったことはありません。

この点、エアアジア・ジャパンから直接航空券を購入した利用客と、旅行代理店に手配してもらった利用客がいると思いますが、立場は同じです。

とはいえ、旅行業者が企画したパッケージツアーを購入した人については、原則として、旅行業者が代替会社の航空券を手配して旅行を実現しなければならないので、実害はないはずです。

●配当金は期待薄

——破産手続きはどのように進められるのでしょうか。

今回のケースの利用客のように破産債権者となると、破産手続きの開始決定後債権届出をする必要があります。購入者は記録されているはずなので、届出用紙が送られてくるでしょう。

保全管理人が破産管財人となって、エアアジア・ジャパンの一切の財産を換価し、破産財団を確保します。その後、債権者会議を経て、配当手続となります。

——利用客の配当はどうなりますか。

報道によると、負債総額217億円、販売済み航空券の払い戻しには5億2000万円以上が必要で、払い戻しの対象も旅行代理店での販売分を除く直接購入だけで約2万3000人に上るようです。

保有航空機はリースで3機、営業所等も賃貸でしょうし、2014年設立という歴史の浅い航空界会社なので、換価財産(破産財団)に多くの期待はできないでしょう。

その上、配当では、税金や従業員の給与などの優先債権に対して先に支払われます。利用客の破産債権は、優先的な支払いが終わった後に残った財産から支払われる形となります。

——破産した企業の財産がそこまで残っているものでしょうか。

配当金について、残念ながら多くの期待はできないでしょう。

10月5日に同月より運航を停止して12月5日をもって正式に運航を廃止すると発表がありましたが、その廃止を待たずに破産手続きの申立てをしたわけです。

運行停止から破産手続きの申立てまでいくらか時間があったわけですから、航空券を購入した利用客に対し、何らかの対策が欲しかったところです。

●日本航空が再建された例もあるが…

——過去には、日本航空が破綻したケースがあります。

日本航空のケースでは、会社更生法で再建を図り、運航が継続されたため、旅客への悪影響は回避できました。日本航空というフラッグシップカンパニー(業界最大手)の破綻だったため、国が動き、公的支援を得て再建が行われました。

——エアアジア・ジャパンとは事情が異なっていたということですね。

エアアジア・ジャパンは、マレーシアのLCCであるエアアジアの子会社で、エアアジアの他は楽天など日本企業が主要株主で、日本航空や全日空(ANA)は資本参加していません。

そして、中部国際空港を拠点とするわずか4路線(国内3、海外1)の小規模な航空会社なので、国が動くこともなく、まさに見放されたケースと言えそうです。

——コロナ禍で航空業界全体が厳しい状況に追い込まれています。

コロナ禍が収束したとしても、航空需要は簡単には元に戻らないと見込まれています。エアアジア・ジャパンについても、株主以外でも再建のためのスポンサーが見つからなかったのではないでしょうか。

コロナの第3波が厳しくなる中、今後追随するようなケースが発生しないことを祈るばかりです。

取材協力弁護士

金子 博人弁護士
「金子博人法律事務所」代表弁護士。国際旅行法学会の会員として、国内、国外の旅行法、ホテル法、航空法、クルージング法関係の法律実務を広く手がけている。国際旅行法学会IFTTA理事。日本空法学会会員。

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