弁護士ドットコム ニュース
  1. 弁護士ドットコム
  2. 民事・その他
  3. 「嫁の子」より「娘の子」を溺愛する義母、入学祝いにも「10倍」の差…孫差別にもう限界!
「嫁の子」より「娘の子」を溺愛する義母、入学祝いにも「10倍」の差…孫差別にもう限界!
写真はイメージです(saki / PIXTA)

「嫁の子」より「娘の子」を溺愛する義母、入学祝いにも「10倍」の差…孫差別にもう限界!

義母の「孫差別」に怒りの声を上げる女性たちがいる。ネット上でも「義母は下の子の名前ばかり呼ぶのに、上の子は無視する」「自分の娘の子どもは溺愛するのに、息子である夫と私の子どもはかわいがらない」などの投稿があがっている。

子育て情報サイト「ママスタ」の掲示板にも「義実家でブチギレました」(http://mamastar.jp/bbs/comment.do?topicId=3628912)という投稿があった。

投稿者の怒りの理由は義母による「孫差別」だ。投稿者と夫(義母の息子)の子どもは、義姉(義母の娘)の子どもと同じ歳。しかし、義母はことあるごとに差別してきたという。

たとえば、小学校の入学祝いは義姉の子どもには3万円、投稿者の子どもには3000円の図書カード1枚で「10倍」の差。子どもが生まれて間もないころは、義姉にはブランドもののベビー服やベビーカー、投稿者にはファストファッションの店で買ったベビー服3枚をプレゼントしていたという。

投稿者が抗議すると、義母は逆ギレ。「息子と離婚して」と言い出しているようだ。

●義母に対して慰謝料を請求できる?

コメント欄には「私も義母に離婚しろって言われたことある」「うちも差が激しいよ。娘の子の方が気を使わないし可愛いのは仕方ないと思う。老後見ないけどね」「もう疎遠でいいでしょ」などの声が寄せられている。

夫が味方になってくれるなど、夫婦関係が良好であれば、義母と距離を置き、関わらないことでストレスも軽減されるだろう。

それでも義母に対する怒りがおさまらなかったり、精神的に追い込まれたりしてしまう場合もある。このような場合、精神的な苦痛を受けたとして、義母に慰謝料を請求することはできるのだろうか。

五十嵐里絵弁護士は、つぎのように語る。

「義母のいわゆるモラハラにあたるような言動により、妻が精神的苦痛を被ったという場合には、慰謝料の請求が可能な場合はあるだろうと思います。これは上司による部下へのパワハラ、セクハラと同じような不法行為に基づく損害賠償請求です」

●義母の言動が原因で離婚することになった場合は?

場合によっては、義母による「孫差別」や「離婚して」などの発言などが原因で、夫婦関係が上手くいかなくなることもある。もし、義母の言動が引き金となり、夫と離婚することになった場合、義母に対して慰謝料を請求できるのだろうか。

五十嵐弁護士によると、義母の言動によって夫婦が離婚せざるを得なくなったことについての慰謝料が認められるかどうかは、難しい部分もあるという。

「離婚はあくまで夫婦の問題であり、離婚するかどうかを決めるのは夫あるいは妻となります。そのため、法律的に問題となるのは、義母の言動ではなく、妻をかばわない、義母に同調する、あるいは義母と一緒になって妻を攻撃するという夫の言動ということになります。また、問題があった場合に慰謝料を支払うのは夫ということになります。

ただし、義母が夫婦関係に過度に干渉し、妻を罵るなどしていたというケースにおいて、離婚に際して、夫と義母が共同で慰謝料を支払うよう命じられた事案もあります。

そのため、義母への慰謝料請求も一定の場合には認められる可能性があると考えてよいと思います。ただ、多くの場合は、夫と義母の双方を訴えることになるでしょう」

●孫が祖母を訴えることはできる?

「孫差別」に対して、怒りを覚えているのは嫁だけではない。実際に、孫差別をされてきたという人からは「孫差別をしてきた祖母を許せない。訴えたい」などの声もあがる。

しかし、五十嵐弁護士は「孫から祖母を訴えるというのは、なかなか難しいと思います」と語る。

「孫の中で差をつけるというのはいかがなものかと思います。

しかし、祖母が孫を虐待したというような場合とは違って、プレゼントやお祝いのような好意によるプラスの行為について『孫全員に同様の取り扱いをすべき』という主張を法的に根拠づけることはできないだろうと思います。

このような問題は、夫が上手に介入して改善に努めるのが理想的で、義母の問題は、結局は夫婦の問題なのだと思います。ここをうまく収められないと将来、離婚という法律問題に発展することになりかねないでしょう」

プロフィール

五十嵐 里絵
五十嵐 里絵(いがらし りえ)弁護士 辻山・五十嵐法律事務所
新聞社に記者として勤務した後、法科大学院に進学、弁護士に。離婚・男女問題、遺産相続、企業法務を取り扱う。

オススメ記事

編集部からのお知らせ

現在、編集部では正社員スタッフ・協力ライター・動画編集スタッフと情報提供を募集しています。詳しくは下記リンクをご確認ください。

正社員スタッフ・協力ライター募集詳細 情報提供はこちら

この記事をシェアする