2020年01月21日 13時55分

「AIが和解案を提示」 裁判まではいかない法的トラブル、解決に「ODR」という未来

「AIが和解案を提示」 裁判まではいかない法的トラブル、解決に「ODR」という未来
画像はイメージです(phonlamaiphoto / PIXTA)

AIがトラブルを裁判沙汰になる前に解決へと導くーー。そんな未来も遠くないかもしれない。

政府は、法的なトラブルを迅速に解決するため、AIなどの技術を活用した「ODR(Online Dispute Resolution、オンラインでの紛争解決)」の拡大を目指している。

具体的にどんなメリットがあるのか。たとえば、世界最大級のオークションサイトeBayでは、こんな風にODRが使われている。

eBayでは、もはや人力で処理するのは不可能な数の紛争が起きている。一方、利用者側からみると、争われている金額が少ないことが多く、弁護士をつけても費用倒れになってしまう。紛争は解決されず、不満が溜まるばかりだ。

そこで、eBayは少額で多数の紛争を効率的に処理するため、自社用のODR「Resolution Center」を構築し、IT技術を活用して年間6000万件の紛争を処理しているという。

日本でも法律がからんだトラブルは多く存在する。しかし、実際に適切な司法サービスにつながっているのは国民の2割ほどと言われている。ODRは司法サービスへのアクセスを身近にし、この「二割司法」問題の改善を図るものとして期待されている。

政府は2019年9月から、月1回ペースで「ODR活性化検討会」を開催し、2019年度内にODRなどに関する基本方針を定める予定だ。

●ADRが浸透していない現状がある

alt ODR活性化検討会のホームページにある資料

すでに裁判以外で簡便・迅速・経済的に紛争を解決する手段として「ADR(Alternative Dispute Resolution)」がある。

法務大臣の認証を受けた民間事業者(認証ADR)や弁護士会ADR、行政機関によるADRなど、ADR機関があっせん、調停、仲裁を行うというものだ。

ところが、認証ADR機関は全国に159あるものの(2019年9月時点)、近年は取扱い事件数が減少傾向にあり、2017年度の全体での受理件数は約980件だった。また、弁護士会ADRについても、2018年度の全体での受理件数は1,062件だった。

全国の裁判所が1年間で受理する事件数が約360万件であることを考えれば、ADRは広く利用されているとはいえない現状にある。

そこで、このADRを活性化させることを含め、IT・AIを活用したODRが注目されている。

政府のODR検討会では、これまでのADRに当たるもののほか、法的な紛争に関する検討・相談・交渉フェーズ(広義の「ADR」)の分野にもODRを活用し、司法アクセスを改善できないか検討している。

●紛争のフェーズごとに、IT・AI活用に向けた取組を検討

alt ODR活性化検討会のホームページにある資料

ODR検討会が最終的にイメージしているのは、AIによる解決支援だ。

しかし、IT・AIを活用するためには、施設・設備などのハード面だけでなく、人材の育成、制度への理解、IT習熟度などのソフト面も含む環境の整備が必要だ。

まずはネットを利用して法律相談や会議を開くといった、段階を踏んだODRの推進が検討されている。

●ODRは自分事である

ODR検討会は、ODR推進に関するニーズや課題をより明らかにするため、ODRについて具体的なアイデア・提案を募集している(応募受付期間は2020年1月14日~24日、https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/odrkasseika/index.html)。

ODRは、なにも裁判沙汰となるようなできごとばかりを対象としているわけではない。

eBayの例もあるように、生活上の身近な揉めごとをどのように平易に解決するべきなのか、というようなことも含めて検討されているといえる。

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