弁護士ドットコム ニュース
  1. 弁護士ドットコム
  2. インターネット
  3. IT活用「年100日以上」旅行しながら仕事 「旅する弁護士」リモートワークの極意
IT活用「年100日以上」旅行しながら仕事 「旅する弁護士」リモートワークの極意
カンボジアのアンコールワットでリモートワークをする藤井弁護士(提供写真)

IT活用「年100日以上」旅行しながら仕事 「旅する弁護士」リモートワークの極意

年間100日以上、海外旅行をしながら、いつでもどこでもリモートワーク。

ITツールを徹底的に活用して、IT企業の法務をサポートする藤井総弁護士 は、旅行をしながら顧問先への法律アドバイスをしています。これまで仕事をしながら滞在した国は40カ国以上で、カンボジアのアンコールワット遺跡や、ハンガリー・ブタペストの世界で最も美しいとされるマクドナルドなどでも、仕事をしたことがあるそうです。

まさに、「旅する弁護士」とも言えそうですが、なぜこのような働き方が可能なのでしょうか。リモートワークの極意を聞きました。

●妻の助言がきっかけ、まずはマレーシアのマラッカへ

ーーそもそも、なぜ旅をしながら働こうと思ったのでしょうか?

もともと、海外旅行を頻繁にしていたわけではありません。2015年に所属していた法律事務所から独立したのですが、当時すでにITツールを活用していて、パソコンさえあれば仕事ができるようになっていたため、日中に誰にも会わずにずっと一人で仕事をするようになりました。また、妻も仕事が忙しく、早朝から夜遅くまで働いていることが多く、さびしさを感じていたところ、学生時代にバックパッカーの経験がある妻から、「海外に行ってみれば」と言われたのがきっかけです。

そのとき、ウェブメディアの記事で、マレーシアのマラッカがノマドワークがしやすいという話があったので、ものは試しでマラッカに行って仕事をしてみようと思いました。

3泊4日くらいだったのですが、とても気分よく、そして支障なく仕事ができました。観光の合間に仕事するというのが、気分転換になりました。

ーーツールはどのようなものを使っているのでしょうか?

ビジネス向けチャットツールの「Chatwork」(https://go.chatwork.com/ja/)です。とても効率がいいので、自分のクライアントであるIT企業にマッチすると思って導入しました。

ーーいままで40カ国くらいに行ったとのことですが、リゾート地でも仕事はできるんですか?

ハワイ、タヒチ、プーケットなどは、ビーチでも仕事ができます。SIMフリーのスマホを使っているので、現地でSIMカードを購入して現地の通信キャリアを利用すれば、無人島ですら、ボートで行ける観光地のようなところですと、普通にネットが繋がり、そしてスマホとノートパソコンをテザリングすれば、仕事は問題ないです。

ーー通信環境については、SIMカードを現地で購入することもあるんですか?

最近は「AIRSIM」という、世界90カ国で使えるSIMカードを使っています。空港でSIMカードを購入する必要もなく、日本にいるようにスマホを使うことができます。

 alt ハンガリー・ブタペストの「世界一美しい」とされるマクドナルドにてリモートワーク(藤井弁護士提供)

●クライアント企業とは初回面談以降、一度も会わないことも

ーー業務として、IT企業の法務を担当されているそうですが、クライアントがIT企業だから、リモートワークが可能なのでしょうか?

クライアントがチャットを使えるからというのは大きいです。クライアントから直接面談したいと言われてしまうと、なかなか海外にはいられません。チャットに対応できるクライアントとだけ契約しているという面もあります。

ーークライアントの企業を訪れると言うことは1年に1回もないのでしょうか?

基本的にはないですね。初回の面談だけは互いに顔を見ないと心配ですので、事務所の会議室に来ていただいて面談しますが、その後はChatworkに移行しますので、基本的には会いません。数年前に会ったきり、チャットでやりとりしているので、ずっと会ってないというクライアントも多くいます。

ーーツールとして、Chatworkを使っているとのことでしたが、他に使っているITサービスはどのようなものがあるのでしょうか。

遠隔で面談をする際にZoomは使いますね。情報管理がBoxとEvernote、G suiteです。あとは名刺管理のEightや、電子契約のCloudsignですね。

ーー今の働き方に満足してますか?

とても満足しています。今年、子供が生まれて、夏に家族で1カ月間ハワイで生活しながら仕事をしたのですが、素晴らしい経験でした。

 alt

●「ワークアズライフ」の生き方に

ーーリモートワークを取り入れて、自身が変わったと思うことはありますか?

リモートワークをする前は、スーツを着て事務所に行って、パソコンを開いて仕事をしていたので、ワークとライフが分離していました。その流れで、ワークライフバランスを考えていたんですけれど、リモートワークを取り入れて、いつでもどこでも仕事ができるようになって、仕事と生活が渾然一体となって、「ワークアズライフ」になりましたね。

仕事と生活を分離したい人間にとって、リモートワークは結構きついと思います。僕みたいに仕事が趣味でもある人間からすると、スーツを着ずに、旅先でもどこでも仕事ができるというのは、本当に楽しいですね。

ーーただ、全部の職種でリモートワークができるとは限らないですよね?

パソコンを使う仕事で、チャットやテレビ会議を使える環境にあるなら、大部分が可能ではないでしょうか。

ーーリモートワークを実践するコツはありますか?

何をするのかを明確にすることが大切です。オフィスにいると、メンバー同士、気づきあってフォローしあうことが可能なのですが、リモートだとメンバーの状況を察することが難しいので、あらかじめ仕事を決めておいて、それをきっちりとやることが大切です。

つまり、専門性を持って、成果を出すことが大事だということです。仕事をしている姿をメンバーに見せられないので、成果が出てないと、「お前サボってない?」と言われてしまいます。

また、リモートワークはチャットがメインになるでしょうから、伝えたいことをしっかりと文章にする能力がないと厳しいです。話せばわかるということではダメです。

ーー同じ士業の人がリモートワークをするにあたって、どんなことが重要になりますか?

士業は基本的にアドバイスをする仕事が中心ですので、対面でなくてもチャットで十分な場面も多いでしょう。もちろん、裁判所や行政機関などに行くこともあるでしょうから、全部が無理だったとしても、業務を分解できれば、アドバイスをする時にはチャットを導入することもできるのではないでしょうか。

ーー「働き方改革」も今後進んで、リモートワークも広がっていきそうですが、どんな価値観が大事になりますか?

何にも縛られず、自由に生きることですね。好きなところで働いて、家族と楽しく過ごす。そのために何ができるかを考えるべきです。なんとなく日々の仕事に流されて、忙しい日々を過ごすのはもったいないです。

プロフィール

藤井 総
藤井 総(ふじい そう)弁護士 弁護士法人ファースト&タンデムスプリント法律事務所
「世界を便利にしてくれるITサービスをサポートする」ことをミッションに掲げて、ITサービスを運営する企業に「法律顧問サービス」を提供している。ITサービスを提供する企業やIT関連部門、IT関連組織が法律顧問サービスの主な導入企業になり、その業種はASPサービス事業者、ISP事業者、EDI事業、ハードウェアメーカー、コンサルティングファーム、海外政府系機関等、多様。

オススメ記事

編集部からのお知らせ

現在、編集部では正社員スタッフ・協力ライター・動画編集スタッフと情報提供を募集しています。詳しくは下記リンクをご確認ください。

正社員スタッフ・協力ライター募集詳細 情報提供はこちら

この記事をシェアする