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日本人男性と結婚した米国人男性、在留資格を拒否され提訴「性的指向に基づく差別」
東京・霞が関の司法記者クラブで会見する代理人の鈴木雅子弁護士(中央)ら(2019年9月、弁護士ドットコムニュース撮影)

日本人男性と結婚した米国人男性、在留資格を拒否され提訴「性的指向に基づく差別」

アメリカで結婚したパートナーの日本人男性と一緒に日本で暮らせるよう、「定住者」の在留資格を求め、東京出入国在留管理局を相手取り、アメリカ人男性が9月13日、東京地裁に提訴した。

提訴したのはアンドリューさん。パートナーである会社員、康平さんと都内で暮らしている。2人はアメリカで2004年に出会い、交際をスタートさせて以来、15年間ともに連れ添ってきた。2015年11月にはアメリカで結婚もしているカップルだ。

アメリカの大学院を卒業後、日本で就職した康平さんと暮らすため、アンドリューさんは2010年6月に来日。「留学」などの在留資格を取得して生活してきたが、それらも継続が困難となった。そのため、人道上の理由などから認められる「定住者」の在留資格への変更を求め、東京入管に申請してきたが、5回とも拒否された。そこで、「家庭生活の自由」を定めた憲法に違反するなどとして提訴するに至った。

同日、東京・霞が関の司法記者クラブで会見したアンドリューさんは、「3カ月後または1年後どこに住むかわからなかったらどうなるか、想像してください。その想像が、15年続いたと想像してください。あなたの妻や夫が隣にいないことを想像してください。これは、みなさんは家族と一緒に住むことが許されないと政府が言っていることと同じです」と訴えた。

●康平さんが日本国籍を捨てれば、2人は日本で暮らせるという「不合理」

この日、会見した代理人の鈴木雅子弁護士によると、アンドリューさんは2010年6月に「留学」の在留資格として来日し、康平さんと同居していた。2012年には日本語学校を修了したために一時帰国、新たに「投資・経営」(当時)の在留資格を取得して2014年5月、再来日して日本での同居生活を続けてきた。しかし、設立した会社の経営難のため、この在留資格の更新が難しくなり、9月19日には期限が切れてしまうという。

鈴木弁護士は「これは、国際人権上、憲法上違反であり、同性愛という性的指向に基づく差別であると考えています」と指摘。訴状では、康平さんの「家族」であるアンドリューさんの在留資格を認めないことは、「愛する人と共に暮らすという人間の最も根本的な権利を奪うものであり」、憲法13条などに違反する上、裁量権の範囲の逸脱濫用としている。

鈴木弁護士によると、現在、日本では海外で結婚している外国人同性カップルの在留は「特定活動」として、認められている。「外国で結婚している日本人と外国人の同性カップルについても、日本の安定的生活を保護すべき人道的必要性は何も変わらず、むしろ日本に住む権利を当然、持っていることからすればその保護の必要性は高い」と話す。

アンドリューさんと康平さんはアメリカで結婚しており、康平さんがアメリカ国籍を取得し、日本国籍を喪失すれば、日本で在留可能になるといい、鈴木弁護士は「不合理の極み」と指摘した。

また、アンドリューさんと康平さんは東京入管を提訴したのと同時に、在留資格が許可されないことにより、家族形成の維持の自由を奪われて精神的苦痛を被ったとして、国を相手どり、合計1100万円の損害賠償を求める訴訟を提起している。

康平さんは会見で、「外国人が日本の法律を変えようとしてる訴訟ではありません。日本人の私が自身の生涯のパートナー・家族と一緒に暮らす権利を国に訴える案件です。誰もが条件なしに持ってそうな権利ですが、私にはその権利はありません」と説明。

「国や法律は過去の人たちのためにあるのではなく、今、生きている人たちのためにあるんじゃないかと思います。社会は常に変化しており、色々な人のニーズがあり、それに合わせて変わるべきでは。私たち国民には、その変化を訴える権利があると思います」と語った。

外国人と日本人の同性カップルをめぐっては、日本人男性と20年以上連れ添った台湾人男性が退去強制処分となったが、訴訟の末、国が今年3月、台湾人男性に対して在留特別許可を出し、「定住者」の資格を付与している。

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

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