福島第一原発の原子炉をつくった原発メーカーにも2011年の原発事故の責任があるとして、約3800人がゼネラル・エレクトリック(GE)、東芝、日立の3社に対して、原告一人あたり100円の慰謝料を支払うよう求めていた裁判で、東京地裁は7月13日、原告の請求を認めない判決を言い渡した(一部棄却・一部却下)。
原告側は、原発事故が起きた場合、原発メーカーの責任が免除される制度(原子力損害の賠償に関する法律・原賠法)は、「原子力の恐怖から免れて生きる権利(ノーニュークス権)」という新しい人権を侵害する違憲無効な法律だとして、原発メーカーの賠償責任を問うことができると主張していた。
被告側は「原子力の恐怖から免れて生きる権利は、単なる不安感だから法的保護に値しない」「被害は適切に賠償されている」などと争っていた。
判決では、「具体的な危険がある場合には(原発稼働の)差し止めを認めることができる」としつつも、「原発事故が発生した場合に、人格権および環境権として、直ちに原告らが主張するような、原発メーカーに対して直接完全な損害賠償請求する権利が発生するとは解することはできない」などとして、原告の主張を認めなかった。
判決後の記者会見で、原発メーカー訴訟弁護団の共同代表・島昭宏弁護士は、「ノーニュークス権という人権があるかどうかという点について、裁判所は何も判断を示していない。審理をつくしていない不十分な判決だ」と批判。「高裁で主張すべきことは十分にある」と控訴する考えを示した。