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2018年12月14日 15時24分

公立小教員、残業代訴訟 初弁論で「無賃労働、若い人に引き継いではいけない」

出口絢 出口絢
公立小教員、残業代訴訟 初弁論で「無賃労働、若い人に引き継いではいけない」
第1回口頭弁論後に報道陣の囲み取材に応じた男性

この裁判で、公立学校の教員の無賃残業を無くしたいーー。

教員の時間外労働に残業代が支払われていないのは違法だとして、埼玉県内の市立小学校の男性教員(59)が、県に約242万円の未払い賃金の支払いを求めた訴訟の第1回口頭弁論が12月14日、さいたま地裁(石垣陽介裁判長)で開かれた。県側は請求棄却を求め、争う姿勢を示した。

法廷で意見陳述した男性は問いかけた。「私のやっている今の時間外勤務の仕事は、残業代を出すことに値しないのか」。

【意見陳述全文:「私の仕事は、残業代を出すことに値しないのか」 公立小教員の訴え〈全文〉

●教員の仕事を明確に

男性は時おり傍聴席を見ながら、紙を読みあげた。

「今、全国で過労死が問題になっています。教員の中にも苦しんでいる方がたくさんいます。なぜ解決しないのでしょうか。民間企業では、社長が責任を持って問題解決に向けた取り組みを始めています。しかし、教員の世界は今も残業代が出ません」

男性が教員になった1981年ごろは、勤務時間の終了とともに職員室から半数ほどの先生たちがいなくなっていたという。しかし、次第に仕事を強要されるようになり、校長の権限も強くなっていった。約38年間の教員生活で「教員の自主性は認められなくなっていった」と変化を感じた。

男性は来年の3月に定年退職を迎える。

「これまで自分が経験してきた不合理なことを、次世代を担う若い人たちに引き継いではいけない」とし、「働き方改革が叫ばれている今こそ、教員の仕事を明確にし、残業に対してはきちんと残業代を支給し、労働時間を減らす方向に持っていくことが、求められていると思います」と訴えた。

●男性「現状を知って」

意見陳述後、報道陣の取材に応じた男性は「たくさんの傍聴人がいて、皆さん関心があるんだと思った」と驚きつつ、「裁判で勝つ負けるではなく、日本の皆さんに現状を知ってもらいたい」と話した。

傍聴に来ていた埼玉大学教育学部の男子学生(2年)は、教員を志望している。周りには教員の働き方の実情を知り、教員の道を諦める人もいるそうだ。男子学生は「1972年から変わっていない給特法も問題。法律の枠組みを問い直さなければいけないのではないか」と話した。

●労基法第37条の適用、除外されない

1972年に施行された「給特法」(公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法)により、公立学校の教員には時間外勤務手当と休日勤務手当が支払われないことになっている。その代わり、基本給の4%に当たる「教職調整額」が支給されている。

「原則として時間外勤務を命じない」ことになっているが、正規の時間を超えて勤務させることができるのは、(1)生徒の実習(2)学校行事(3)職員会議(4)災害など緊急事態からなる「超勤4項目」に限るとされ、労基法37条の適用は除外されている。

男性の代理人の若生直樹弁護士は「超勤4項目に該当しない業務に関して時間外労働が命じられた場合についてまで、労基法第37条の適用が除外されることを、給特法が予定しているとは考えられない」と意見陳述した。

(弁護士ドットコムニュース)

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この記事へのコメント

タスケ 60代以上 男性

あなたの勇気に対して、絶大な支持をする。よくぞ、踏み込んでくれた。精神疾患、過労で倒れた多くの教職員が、この歪んだ世界からでたがっている。裁判の勝ち負けの基準でなく、この世界がいかに異常か、多くの知らない方たちに知らしめてほしい。

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匿名ユーザー

教員です。
教員、学校現場で働く人間は、子供のため、児童生徒のため、と言われると、仕事してしまいます。まるで、子供たちを人質に取ったようはことをするんです。
でも、忘れないでいただきたいのは、公務員に関したり、学校教育に関したりした法律以上のことは、私たちの国家資格では認められていない。社会福祉士や精神科医などの職域なんです。拡大解釈して、学区域地域の、子供のための、「何でも屋」ではないんです。法で決められた職域のある専門職なんです。法で定めるところの業務範囲は広がり続けていますので、そこもなんとかして欲しいのですが、せめて、現行の指導要領ないで、拡大解釈せず、教員の専門職としてのあり方を周知してほしい。
そして、公務員は恵まれるばかりではありません。雇用保険がなく、職を変えようにも失業手当はありません。逃げ道はありません。もちろん、退職金がかろうじて高いなどありますが、
加えて、残業代もなく、教員文化として教材費、教材準備のための物品は、自腹がほとんどで、熱意があった若い頃は、手取り20万ほどから、計算したら月5万以上の仕事に関して使うこともありました。もっと使ってらっしゃる方もいます。
勤務時間開始が8:30ですが、保護者からの持ち物確認や、投稿をぐずる児童への励まし電話の依頼、出欠席連絡もあり、7:30には出勤し、プール指導時期にはプールの清掃をするので7:00。当たり前のように会議のマニュアルになります。8:30から短い職員会議、そして授業、指導時間。下校時間後は16ごろから休憩時間となっていますが、課外活動、生徒会、部活指導があり勤務終了の17過ぎまで指導時間。もちろん会議なデスクワークは指導と安全管理優先なので不可能です。休憩時間などありません。まれに、放課後活動をないひをつくると、クレームが来ます。
他の専門職を導入する試みも始まりましたが、その分教員の定数が減り、その専門職との連携業務も増えたのに、教員は減ります。
子供のため。は、理論的でなく感情論。専門職とは思えない理由ではないですか。もし、他の医者や看護師などが感情論で動き始めたらその人に診てもらいたいですか?子供のため、のまえに、
「しいては」子供のための仕事、学校に求めてませんか?「しいては」ってことは、本当は誰のため?

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jk 50代 男性

「よくぞ訴えてくれた」などと言ってないで、一人一人が声を上げないと!!

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ヤマネコ 60代以上 男性

昔教員をしていた。現職の時定時登校定時下校を独り実行した。査問も受けず首にもならなかった。

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