公立小教員、残業代訴訟 初弁論で「無賃労働、若い人に引き継いではいけない」
第1回口頭弁論後に報道陣の囲み取材に応じた男性

公立小教員、残業代訴訟 初弁論で「無賃労働、若い人に引き継いではいけない」

この裁判で、公立学校の教員の無賃残業を無くしたいーー。

教員の時間外労働に残業代が支払われていないのは違法だとして、埼玉県内の市立小学校の男性教員(59)が、県に約242万円の未払い賃金の支払いを求めた訴訟の第1回口頭弁論が12月14日、さいたま地裁(石垣陽介裁判長)で開かれた。県側は請求棄却を求め、争う姿勢を示した。

法廷で意見陳述した男性は問いかけた。「私のやっている今の時間外勤務の仕事は、残業代を出すことに値しないのか」。

【意見陳述全文:「私の仕事は、残業代を出すことに値しないのか」 公立小教員の訴え〈全文〉

●教員の仕事を明確に

男性は時おり傍聴席を見ながら、紙を読みあげた。

「今、全国で過労死が問題になっています。教員の中にも苦しんでいる方がたくさんいます。なぜ解決しないのでしょうか。民間企業では、社長が責任を持って問題解決に向けた取り組みを始めています。しかし、教員の世界は今も残業代が出ません」

男性が教員になった1981年ごろは、勤務時間の終了とともに職員室から半数ほどの先生たちがいなくなっていたという。しかし、次第に仕事を強要されるようになり、校長の権限も強くなっていった。約38年間の教員生活で「教員の自主性は認められなくなっていった」と変化を感じた。

男性は来年の3月に定年退職を迎える。

「これまで自分が経験してきた不合理なことを、次世代を担う若い人たちに引き継いではいけない」とし、「働き方改革が叫ばれている今こそ、教員の仕事を明確にし、残業に対してはきちんと残業代を支給し、労働時間を減らす方向に持っていくことが、求められていると思います」と訴えた。

●男性「現状を知って」

意見陳述後、報道陣の取材に応じた男性は「たくさんの傍聴人がいて、皆さん関心があるんだと思った」と驚きつつ、「裁判で勝つ負けるではなく、日本の皆さんに現状を知ってもらいたい」と話した。

傍聴に来ていた埼玉大学教育学部の男子学生(2年)は、教員を志望している。周りには教員の働き方の実情を知り、教員の道を諦める人もいるそうだ。男子学生は「1972年から変わっていない給特法も問題。法律の枠組みを問い直さなければいけないのではないか」と話した。

●労基法第37条の適用、除外されない

1972年に施行された「給特法」(公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法)により、公立学校の教員には時間外勤務手当と休日勤務手当が支払われないことになっている。その代わり、基本給の4%に当たる「教職調整額」が支給されている。

「原則として時間外勤務を命じない」ことになっているが、正規の時間を超えて勤務させることができるのは、(1)生徒の実習(2)学校行事(3)職員会議(4)災害など緊急事態からなる「超勤4項目」に限るとされ、労基法37条の適用は除外されている。

男性の代理人の若生直樹弁護士は「超勤4項目に該当しない業務に関して時間外労働が命じられた場合についてまで、労基法第37条の適用が除外されることを、給特法が予定しているとは考えられない」と意見陳述した。

(弁護士ドットコムニュース)

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