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グローバルダイニング訴訟が結審「これからの命令にもインパクトがある」 判決は5月16日
会見の様子(2022年3月14日、東京都内、弁護士ドットコムニュース撮影)

グローバルダイニング訴訟が結審「これからの命令にもインパクトがある」 判決は5月16日

新型インフルエンザ対策特別措置法(特措法)に基づく時短命令を2021年3月に受けた飲食チェーン「グローバルダイニング」が、命令は違憲・違法だとして、東京都を相手取り、損害賠償を求める訴訟の第7回期日が3月14日、東京地裁(松田典浩裁判長)であった。

原告側は、第3回緊急事態宣言時に都がグローバルダイニングに対しておこなった時短要請・命令等の対応について、裁判所からの求めに応じて報告。その上で、あらためて同社に対する2021年3月の時短命令は違憲・違法であることを訴えた。

都側は、前回期日で21時以降の人出抑制は「有意でない」などと証言した京大・藤井聡教授(都市社会工学)による各種意見書について、緊急事態宣言等の政策効果を包括的に統計学的な視点のみから分析した一事例にすぎないと主張。飲食店の時短営業の効果を分析するものではないとし、時短命令が違法か否かを判断できる資料ではないなどと反論した。

2021年3月22日の提訴から始まった今回の裁判は約1年後のこの日に結審。判決は5月16日に言い渡される。

●「これからの命令等にもインパクトのある判決になる」

期日後に開かれた会見で、原告弁護団の水野泰孝弁護士は、代理人が就いて争われる国家賠償訴訟では2年で終わることも珍しいと指摘。「当事者尋問、証人尋問がおこなわれたうえで1年で結審したのは異常な短さ」と話した。

「裁判長は、私たちに対して、この事件は今判断することに意味があると常々言っていました。ここまでスピーディに審理が進んだのは、短期で答えを出すという明確な意思を持った裁判長の強力な訴訟指揮によるところが大きいと思います。判決がどうなるかはわかりませんが、私たちは(裁判長からの)メッセージをポジティブに受けとめています」(水野弁護士)

会見で、判決への思いを問われた同社の長谷川耕造社長は、特措法やそれに基づく時短命令の違憲・違法性についても理解を示したうえで、「憲法判断をしてもらえたら」と話した。

「個人的には、判決が我々にとってプラスかマイナスかということよりも、(憲法が保障する)表現の自由、法の下の平等などについて踏み込んで判断してもらえたらと思っています」(長谷川社長)

同弁護団の倉持麟太郎弁護士は、雇用の維持のために店を開けておくことが違反に問われない「正当な理由」に当たるのかどうか、「特に必要があると認めるときに限り」という命令の発出要件を満たしていたのかどうかという点が「(司法判断の)主戦場になる」とみている。

「これらの点についての唯一かつ初めての司法判断になります。これからの命令の発出等にもインパクトのある判決になると思います」(倉持弁護士)

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