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「カップルがうるさくて困っています」単身用アパートの同棲、それってアリ?
写真はイメージです(yamasan / PIXTA)

「カップルがうるさくて困っています」単身用アパートの同棲、それってアリ?

「上の階に住むカップルがうるさくて困っています」。弁護士ドットコムにこのような相談が寄せられている。

相談者が住むのは単身用の賃貸アパートだ。特約でも「一人用」とされており、同棲は認められていないという。上の階にカップルが住み始めてから、少なくとも半年以上は経過しているそうだ。

騒音がおさまらないため、相談者はカップルに出ていってほしいと思っている。しかし、不動産屋に相談しても改善されなかったという。

●「一人用」のアパートで同棲生活をおこなうことは契約違反

そもそも、「一人用」という特約自体は有効なのだろうか。関戸淳平弁護士は、次のように説明する。

「『一人用』との特約は、建物の間取りや設備自体が単身生活を想定している場合や、単身女性専用アパートなどのように賃借人の平穏な生活を維持することを目的としている場合に見受けられるものです。一般的には、このような特約には合理性が認められますので、有効になると考えられます」

では、特約が有効となるならば、大家は契約に違反して同棲しているカップルを強制的にアパートから退去させることはできるのだろうか。

関戸弁護士は「『一人用』のアパートで同棲生活をおこなうことは契約違反となり、契約を解除したり、契約の更新を拒否できる可能性があります」と語る。

「なお、裁判では、契約違反があっても、大家との『信頼関係破壊』にまでは至っていないといえるような特別な事情があれば、解除が制限される場合はあり得ます。

たとえば、同棲をしていても極めて短期間であるといった場合には、解除にまではならないこともあるかもしれません」

●契約の解除が認められる可能性は?

では、今回の相談者のケースはどのように考えるべきだろうか。

「同棲自体が契約違反であることに加え、その期間が半年以上に及んでいます。また、同棲によって騒音をも発生させ、他の住民にも迷惑を与えているわけです。そのため、契約解除が認められる可能性が強まるでしょう。

『一人用』アパートでの同棲は契約違反です。無用なトラブルを避けるためには、契約書に書かれたルールは守るべきですし、やむを得ない事情があれば、事前に大家さんに相談をするべきでしょう」

プロフィール

関戸 淳平
関戸 淳平(せきど じゅんぺい)弁護士 横浜ユーリス法律事務所
中央大学法学部卒。2004年弁護士登録(横浜弁護士会)。2009年より横浜ユーリス法律事務所パートナー。不動産売買、賃貸、マンション問題、相隣問題等、不動産に関連する事件を数多く手がけている。

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