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「犬のフン」放置する飼い主への対処法ーー自衛策から訴訟までの「ステップ」は?
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「犬のフン」放置する飼い主への対処法ーー自衛策から訴訟までの「ステップ」は?

犬のフンを玄関前に放置され困っている――。弁護士ドットコムの法律相談コーナーに、そんな悩みが寄せられた。

相談者によると、犬のフンは毎週のように玄関前に放置されており、しかも飼い主は同じ人物だという。放置しておけないので、仕方なく家族がフンを処分している。飼い主に注意したが、「訴えたかったら、訴えろ」と言い返され、その後も犬のフンを始末してくれないそうだ。

玄関前に犬のフンを放置されたら、不衛生だし、片づけの手間もかかる。飼い主に、フンの放置をやめさせることはできないのだろうか。また、これまでフンを放置してきたことについて、慰謝料を払ってもらうことはできないだろうか。渡邉正昭弁護士に聞いた。

●深刻な近隣トラブルに発展する可能性も

「ペットのふん尿の問題は、まず自衛策として、自宅前に『犬のフン禁止』など張り紙を貼ったり、ふん尿防止剤スプレーを自宅前に塗布するなどの自衛策が考えられてきました。

また、刑事や行政処分を求めることも考えられてきました。具体的には、廃棄物処理法16条の不法投棄、軽犯罪法の汚物遺棄、ふん害に行政罰を課す条例の違反を理由とすることが考えられます」

渡邉弁護士はこのように述べる。しかし、このような方法で解決するのだろうか。

「解決できない場合も多くあります。

問題を起こす飼い主の多くは、ペットに深い愛情を有するがゆえに、飼育方法に独特の価値観を持っています。

そのため、『善悪』や『当否』という言葉でこれを真っ向から否定されることを極端に嫌がります。

この特性をきちんと認識しないと、逃げ場のない感情的対立となり、深刻な近隣トラブルとなります。

本件では、相手方の真意や人格特性はまだ明らかになっていません。また、相談者の行動に対する、相手方の反応を予測することも困難です。

相手方の情報が不十分な段階で、解決をあせると、かえってこじれてしまうケースもあります」

●刺激の少ない方法から、段階的に対応すべき

では、どのように対処するのが正解だろうか。

「相手方に対する刺激がより少ない交渉から始め、それが奏功しない場合は、刺激の程度を段階的に引き上げていきましょう。

法律を使う場合には方法の選択を慎重に検討し、法律・行政相談や民事調停というように、刺激が少ない方法から始めたほうがよいでしょう。

それが奏功しない場合、刺激のより強い法的解決(刑事・行政処分や民事訴訟)を検討する戦略をとります。

相手方の行為が意図的であり、行為態様や期間に鑑みて極めて悪質な場合には、慰謝料を請求できる場合もあるでしょう」

渡邉弁護士はこのように述べていた。

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

渡邉 正昭
渡邉 正昭(わたなべ まさあき)弁護士 渡邉アーク総合法律事務所
交渉戦略家・弁理士 元家事調停官 心理学を活用した法的交渉が特徴。ペット問題に30年関わり、相談や事件依頼は全国各地から、近時は世界各国からも。セカンドオピニオンや引き継ぎ依頼も多い。

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