2019年07月26日 16時30分

「植松君には人間の心が数パーセントある」相模原殺傷から3年、佐々木教授が面会を振り返る

「植松君には人間の心が数パーセントある」相模原殺傷から3年、佐々木教授が面会を振り返る
会見する佐々木隆志教授(7月26日、弁護士ドットコム撮影)

神奈川県相模原市の知的障害者施設「津久井やまゆり園」で入所者19人が殺害されるなどした事件から3年を迎えた7月26日、殺人罪などで起訴されている植松聖被告人(29)とやりとりをしてきた静岡県立大学短期大学部の佐々木隆志教授(社会福祉学)が、福祉施設の職員の待遇改善などを求める厚労相宛の要望書を提出した。

佐々木教授はその後、厚生労働省で会見し、「事件を絶対に忘れてはいけない。社会問題として受け止めてほしい」と訴えた。植松被告人については「人は人を殺すために生まれてきているわけではない。植松くんには人間のこころが数パーセントあると思っている」と語った。

●植松被告人「とにかく目立ちたかったんですよ」

佐々木教授は障害を抱える子の父親でもある。「(事件にショックを受けた)息子は今もフラッシュバックが止まりません。事件が与えた影響は大きい」とした。

植松被告人とは5回ほど面会したことがあるという佐々木教授。

19人の入所者を殺害した理由について聞くと、植松被告人は「とにかく目立ちたかったんですよ、先生」と答えたという。佐々木教授は「逆にいえば目立っていなかったということ。孤立していたのではないか」とした。

また、「もし、やまゆり園に勤めていなければ、刃物を持って殺さなかったのではないか」という問いに対しては、植松被告人は何度も「そのとおりです」と答えたそうだ。

佐々木教授は「植松くんは重度の障害者をケアする専門職としての技術・知識・倫理が壊れていった可能性がある。彼に限らず、施設において虐待などは起きている。施設にスーパーバイザーのような人がいれば、彼の人生は変わったかもしれない」。

●植松被告人の涙に「人間のこころがあると思った」

「もし、糞尿を散らすお父さんがいて、徘徊するお母さんがいたとしたら、植松くんはデリートするのか」と聞くと、彼からの答えはなかったという。

「面会したとき、植松くんは深々とお辞儀し、何度も『本当にありがとうございました』と涙を流しながら挨拶していた。その涙に、彼には人間のこころがあると思った」と佐々木教授は当時を振り返った。

1回だけではなく、その後も手紙を出したり、面会に足を運んだりしたのは「汚染された心を浄化するため」。佐々木教授は「植松くんにはこころのケアが必要」と語った。

●防犯対策にかけた費用は約4億6千万円

佐々木教授は、事件が施設や社会に与えた影響を明らかにするため、5月末から6月にかけて全国740カ所の障害者施設を対象にアンケート調査を実施。

その結果、約60%以上の施設が防犯カメラの設置などの防犯対策をしていたことがわかった。佐々木教授は、防犯にかけた費用の総額は約4億6千万円とみている。

一方、夜間職員や警備員の増員はほとんどなく、ソフト面よりもハード面の対策に重きが置かれていたことも明らかになった。

この日提出した要望書で求めたのは、(1)職員の待遇改善、(2)職員の配置基準の見直し、(3)地域共生社会の方向性を示すことだ。

佐々木教授は「福祉サービスの労働者はぎりぎりで生活をしているため、何かあればバーンアウトしてしまう。労働環境を改善しないかぎり、質の高いサービスは難しい」とした。

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