男子児童(12)とみだらな行為をしたとして、香川県高松市のパート従業員の女性(22)がこのほど、強制性交等の疑いで香川県警に逮捕された。この事件を受けて、一部のインターネットユーザーがざわついている。
●一部のネット民「うらやましい」、これに反発する声も
報道によると、女性は1月21日夜、高松市の自宅で、13歳未満と知りながら、男子児童とみだらな行為をした疑いが持たれている。
2人は2018年、スマホのオンラインゲームを通じて知り合って、女性が21日、男子児童を自宅に呼び出していた。警察の取り調べに対して、女性は容疑を認めているという。
あきれたことに、ネット上では「リアルおねショタ」「うらやましい」「ご褒美だ」「被害者のいない事件だろ」といった声があがっている。一方、こうした声に「ゆがんでいる」と反発する意見も強い。
●13歳未満には「暴行また脅迫」がなくても成立する
だが、今回容疑となった強制性交等罪は「5年以上の有期懲役」の罰則が定められている。
この強制性交等は、2017年に刑法が改正された際、強姦罪から名称が変わった犯罪で、被害者を女性に限定した区別がなくなっている。そして、13歳未満には「暴行また脅迫」がなくても成立する。
わいせつ事件にくわしい奥村徹弁護士が「強制性交罪」について解説する。
「2017年の刑法改正で『性交』(膣内に陰茎を入れる行為)に加えて、『肛門性交』(肛門内に陰茎を入れる行為)、『口腔性交』(口腔内に陰茎を入れる行為)も『性交等』に含まれることになりました。
また、次のように考えられています。
『これらの行為には、自己又は第三者の陰茎を被害者の膣内等に入れる行為だけでなく、自己又は第三者の膣内等に被害者の陰茎を入れる行為(入れさせる行為)を含む。
すなわち、『性交、肛門性交又は口腔性交』とは、相手方(被害者)の膣内、肛門内若しくは口腔内に自己若しくは第三者の陰茎を入れ、又は自己若しくは第三者の膣内、肛門内若しくは口腔内に相手方(被害者)の陰茎を入れる行為をいうものである』
(法務省刑事局長通達「刑法の一部を改正する法律」の施行について参照)」
●慎重な事実認定が必要
奥村弁護士によると、今回のケースのように、女性が加害者になる場合、「主体性」がポイントとなり、慎重な事実認定が必要だという。
「被害者が13歳未満の強制性交等罪(177条後段)については、暴行・脅迫が要件となっていないので、非暴力的な性交等が、強制性交等罪に問われることになります。
女性が加害者となる場合については、女性が主体的に自分の膣内に男性(13歳未満)の陰茎を入れた(入れさせた)場合には、女性が強制性交罪になります。
ただ、男性(13歳未満)が主体的に女性の膣内に陰茎を入れた場合(たとえば女性がいやいや応じた場合など)には、女性は強制性交罪にならないので、女性が主体かについて事実認定が微妙になる場合も予想されます。
また、主体性の程度は、情状として量刑(刑期)に直結しますので、慎重な認定が必要になるでしょう」
●青少年保護育成条例違反になる可能性も
また香川県には、青少年保護育成条例があり、青少年(18歳未満)に対して、「淫行または猥せつの行為」をすることが禁止されている。
「被害者が13歳以上で暴行・脅迫がない場合や、被害者が13歳未満であっても13歳未満であることを知らなかった場合には、強制性交等罪は成立しません。
その場合、別途、『淫行または猥せつの行為」として処罰されることになります(同条例16条1項)。法定刑は『2年以下の懲役または100万円以下の罰金』とされています。
なお、『淫行』というのは、性交または性交類似行為(実質的にみて、性交と同視し得る態様における性的な行為をいいます。たとえば、異性間の性交とその態様を同じくする状況下における、あるいは性交を模して行われる手淫、口淫行為、同性愛行為です。
わいせつ(猥せつ)とは、『いたずらに性欲を興奮または刺激させ、かつ普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反する行為をいう』と解釈されています(参考:香川県青少年保護育成条例の解説)」(奥村弁護士)