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2018年06月06日 09時57分

財務省職員、こっそり国交省文書を差し替え…公用文書等毀棄罪にあたる可能性

財務省職員、こっそり国交省文書を差し替え…公用文書等毀棄罪にあたる可能性
国土交通省(ABC / PIXTA)

「森友学園」への国有地売却をめぐる決裁文書改ざん問題で、財務省理財局の職員がつじつまを合わせるために2017年4月、国土交通省に出向き、国交省内に保管されていた決裁文書を改ざん後の文書に差し替える作業をしていたことが明らかになった。財務省の報告書や報道によれば、問題の文書は、森友学園への土地の貸付契約に関する決裁文書。

2017年3月以降、財務省理財局の職員が国交省の室長級職員に対して、決裁文書の「最終版がある」と説明。4月下旬に国交省を訪れて差し替え作業をした。ただ、来訪に際し、不審に思った国交省職員は原本ではなく、原本のコピーなどを閲覧させたという(国交省職員は立ち会わなかった)。

この後、国交省はもともと保管していた原本を、財務省は改ざん後の文書を、それぞれ会計検査院に提出。結果的に内容が異なる文書が提出されることになった。共同通信は6月5日、石井啓一国交相が同日午前の会見で、「大変遺憾」とする一方、「ある意味、社会的な制裁は受けているのではないか」と述べ、財務省に抗議しない意向を示したと伝えた。

今回の財務省理財局の職員による行為は、公用文書等毀棄など刑事上の罪に問われることはないのか。秋山直人弁護士に聞いた。

●会計検査院の検査を妨害か

ーー財務省職員の行為は罪に問われるでしょうか

「財務省理財局国有財産審理室の職員は、国交省において、決裁文書のコピーを、改ざんした決裁文書に差し替えたというわけですから、公用文書等毀棄罪(公務所の用に供する文書を毀棄したときに成立する罪で、3月以上7年以下の懲役・刑法258条)が成立するでしょう。

『毀棄』とは、文書の本来の効用を害する全ての行為を指すと解されています。また、当該職員が保管されていた決裁文書を持ち出したのであれば、窃盗罪(10年以下の懲役又は50万円以下の罰金・刑法235条)も成立するでしょう。

例えば裁判所で訴訟記録を閲覧する際に記録の一部を差し替えた事案では、最近でも、窃盗罪で被疑者が逮捕されている例が報道されています」

ーー会計検査院に文書を提出する時期が迫っていたと言われています

「はい。国交省が会計検査院に文書を提出しようとしていた時期に財務省職員によって行われたということで、会計検査院の検査を妨害したという側面が強いといえます。会計検査院法33条では、会計検査院は、検査の結果、国の会計事務を処理する職員に職務上の犯罪があると認めたときは、その事件を検察庁に通告しなければならないとしています。

ただ問題は、理屈として刑事上の罪が成立するとしても、警察が捜査・立件し、検察官が起訴するかどうかです」

●公文書は国民財産、「差し替え」厳しく罰する必要

ーーその見込みはいかがでしょうか

「森友学園問題をめぐっては、背任・虚偽有印公文書作成(公文書の改ざん)等の容疑で当時の財務省理財局長らが告発されるも不起訴になっていますから、同様に、今回の決裁文書の毀棄についても、市民の告発があったとしても不起訴とされる公算が現時点では高いでしょう。

結果的に原本が守られていることや、一定の懲戒処分を受けていることで社会的制裁を受けているとして刑事罰までは課さないという判断が予想されます」

ーー社会的制裁を受けたとはいえ、身内の処分で幕引きされることには違和感があります

「はい。個人的意見を言わせていただければ、公文書とは国民全体の財産ですから、会計検査院の検査で不都合な事実が明らかにならないよう、公文書を『差し替えた』というのは、国民全体に対する背信的行為であり、厳しく罰する必要があると思います。

国交相が『ある意味、社会的な制裁は受けているのではないか』などと言って抗議しないからといって済ませられる問題ではないでしょう。会計検査院には、当該職員に公用文書等毀棄罪ないし窃盗罪が成立するとして検察庁に通告して頂きたいですし、検察庁は捜査・起訴のうえ、裁判所に厳正な処分を求めるべきだと思います」

ーー起訴されない場合、次はどのようなステップが考えられますか

「検察が起訴権限を適正に行使しないのであれば、市民で構成する検察審査会の出番であるように思います」

(弁護士ドットコムニュース)

秋山 直人弁護士
東京大学法学部卒業。2001年に弁護士登録。所属事務所は溜池山王にあり、弁護士3名で構成。原発事故・交通事故等の各種損害賠償請求、不動産関連、離婚・相続、労働事件・労災事件、企業法務、契約紛争、高齢者の財産管理、債務整理、刑事事件等を取り扱っている。

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