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2017年06月09日 09時59分

小5女児殺害被告人「ご遺族が死刑を求めるのは当然」二審も無期、面会で語った思い

小5女児殺害被告人「ご遺族が死刑を求めるのは当然」二審も無期、面会で語った思い
福岡拘置所

2015年に福岡県豊前市であった小5女児殺害事件で、強姦致死や殺人などの罪に問われた内間利幸被告人(48)の控訴審判決が6月8日、福岡高裁であった。山口雅高裁判長は「欲望の赴くままに犯行に及んだ」「真摯に反省を深めている様子もうかがえない」と厳しい批判の言葉を並べたが、「計画性や犯行の執拗さは認められない」と述べ、死刑を回避した第一審の無期懲役判決を是認し、検察、弁護側双方の控訴を棄却した。

今回の事件以前にも小学生女児を含む複数の女性を強姦するなどし、約12年も服役したことがある内間被告人。自分の罪をどう受け止めているのか。計5回面会し、話を聞いた。(ルポライター・片岡健)

●腰が低く、おとなしそうな印象

内間被告人は事件を起こした当時、内妻やその連れ子の男児、内妻との間にもうけた幼い娘と一緒に豊前市で暮らしていた。被害者の女児は、連れ子の男児と仲がよく、内間被告人とも顔見知りだったという。

裁判員裁判だった第一審・福岡地裁小倉支部の判決によると、内間被告人は女児を車で誘拐して民家に連れ込み、わいせつ行為をしたうえ、犯行の発覚を免れるために首を圧迫して殺害。さらに遺体をトートバッグに入れて自宅に運び、押し入れに遺棄したとされた。

そして判決は「最悪の性犯罪で、刑事責任は重大」と指弾したが、一方で「同種事案の中で突出した残虐性や猟奇性があるとはいえない」と死刑を回避し、無期懲役を宣告。そんな第一審の結果をうけ、検察側と内間被告人側の双方が控訴していたが、福岡高裁はいずれの控訴も棄却した。

私が内間被告人に初めて面会したのは、控訴審の判決を2週間後に控えた今年5月下旬のこと。内間被告人は面会室に現れると、気をつけの姿勢から「はじめまして」とお辞儀した。普段から言動が粗暴だったという報道もあったが、実際に本人と会ってみると、むしろ腰が低く、おとなしそうな印象を受ける人物だった。

●「量刑が不満で控訴したのではないんです」

「取返しのつかないことをしてしまい、被害者やご遺族には申し訳ない気持ちでいっぱいです」

起こした事件への思いを訪ねると、内間被告人はそう述べた。申し訳ないと思うだけでなく、実際に被害者のために何かしているのか。そう質問すると、「朝昼夕の食事前に5分、夕食後に20分、キリスト教の聖書を読んで覚えたお祈りをしています。それと毎月、最終土曜日に断食をしています」と答えた。

裁判では、検察が1、2審共に死刑を求めたのみならず、女児の両親も法廷の内外で死刑を望む思いを表明してきた。そのことに水を向けると、内間被告人は「検察官やご遺族が死刑を求めるのは当然だと思います」と言った。ならば、なぜ、控訴したのか。

「量刑に不満があったわけではないのです。実際、第一審で判決が出た当初は弁護士に控訴を勧められても断っていました。しかし、1週間後くらいに検察が控訴したのをきっかけに、事実ではないことで罰を受けてもいいのかと思うようになり、悩んだ末に控訴したのです」

内間被告人は1、2審共に女児にわいせつ行為をしたことを認めた一方で、「女児が叫び声をあげたため、手で口をふさいだり、首を押えていたら死なせてしまった」と殺意を否定するなど犯行の根幹部分で事実関係を争った。

遺族はこのことにも「被告人は、うそと不誠実な態度を繰り返している」と怒りのコメントを公表しているが、内間被告人は「判決の内容が事実の通りなら死刑でも不満はなかったです」と述べ、「量刑が不満で控訴したのではないことはわかって欲しいです」と訴えた。

●小児性愛の性癖は否定

内間被告人は過去に起こした複数の強姦事件で約12年間も服役したのみならず、出所後は警察の監督も受けていた。それにも関わらず、どうして性犯罪を繰り返したのか。しかも、よりによって小さな女の子を狙ったのか。

その理由の1つには当然、小児性愛の性癖があるのだろうと思いきや、内間被告人は「それはないです」と否定した。ロリコンものやレイプもののAVについては「観ていませんでした」と言い、風俗店についても「行ったことがないです」と断言。過去に起こした強姦事件でも被害者に小学生女児が含まれることについては、こう説明した。

「当時は生活環境が荒れていて、ムシャクシャしていたんです。小さな女の子を狙ったわけではなく、道で待ち伏せしていて、『通りかかった女性なら誰でも』という感じでした」

今回の事件で生命を奪った女児についても、わいせつ行為に及んだのは小児性愛の性癖からではなく、恋愛感情からだったと主張した。

「被害者が自分の娘の世話をしてくれている様子をみているうち、母性を感じ、いち女性とみるようになりました。そして目の前のことだけしか見えなくなってしまったのです」

過去に別の小さな女の子に恋愛感情を抱いたことはなかったのかと質すと、「なかったです。過去に恋愛対象にした女性は、同世代か年上でした」と言い切った内間被告人。自分自身の幼い娘の存在はブレーキにならなかったのかと問うと、「なりませんでした。そういう思いも忘れてしまっていたのです」と答えた。

●自分の娘が同じ被害に遭えば「死刑を望む」

他の誰かが自分の娘に対し、自分が被害者にしたのと同じことをしたらどう思うか。そう質問すると、内間被告人は「死刑を望むと思います」と即答した。ならば、控訴審でも被害者の両親が求めた死刑が回避され、無期懲役の判決が維持されたことをどう思うのか。 「被害者とご遺族には、申し訳ないという思いだけですね…」 内間被告人は8日の控訴審判決公判終了後、初めて面会した時と同様の言葉を口にした。

だが一方で、自分の控訴も棄却され、控訴審でも再び殺意が認定されたことについては、「正直、納得できないです」とも言った。最高裁に上告するか否かなど今後のことについては、「弁護士の先生と相談して決めます」とのことだった。

●遺族のコメントを読み上げると・・・

一方、女児の両親も判決公判終了後、代理人弁護士を通じて、コメントを発表した。以下はその中から抜粋したものだ。

〈「これだけ酷いことをしておいて、私たちの命よりも大切な、かけがえのない娘の命を奪って、それで死刑にならないなんて絶対におかしい。絶対に許せない。」これが私たちの思いです。本当に悔しい、被告人が目の前で生きていることが許せない、やり場のない怒りとどうしようもない感情で心が壊れそうです。〉

〈私たちは、娘のために、もう二度と被害者を出さないために、被告人の死刑を求めました。たとえ被害者が一人であったとしても、子どもの自尊心を踏みにじり、人格を無視し、命を奪ったときには死刑になるという先例を残してほしかったのです。〉

〈死刑以外の結果など受け入れることはどうしてもできません。娘のためにも、そして、さらなる被害者出さないためにも、これで終わることはできません。検察官には上告をお願いします。〉

面会室で、こうした遺族のコメントを読んで聞かせたところ、内間被告人はうつむき、表情を曇らせた。感想を求めたところ、「当然のことだと思います」と声を絞り出すように言い、こう付け加えた。

「自分も娘がこのような被害に遭い、ご遺族の立場になれば、悔しいと思います」

娘については、「年をとってからの子どもだったので、かわいかったです」とのことだが、事件以来、家族との関係は途絶え、現在は家族がどこで、どう暮らしているかは一切わからないという。「正直寂しいですが、仕方ないと思います」と悲しそうに言った。

【プロフィール】片岡健(かたおか・けん)ルポライター。1971年生まれ。大学卒業後、フリーのライターに。全国各地で新旧様々な事件を取材している。編著に「絶望の牢獄から無実を叫ぶ ―冤罪死刑囚八人の書画集―」(鹿砦社)。広島市在住。

(弁護士ドットコムニュース)

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