知人女性を殴ってケガをさせたとして傷害の容疑で逮捕された元timeleszの猪俣周杜さんについて、東京地検が10月21日、起訴猶予として不起訴処分にしたと報じられました。
報道によると、猪俣さんは9月18日夜、東京都江東区のコンビニ駐車場に止めた車の中で、知人女性の顔を複数回殴ってけがをさせた疑いが持たれていました。不起訴処分について、東京地検は「犯行後の状況も含めた諸般の事情を考慮した」と説明しています。
起訴猶予とはどういう処分で、なぜ起訴されなかったのでしょうか。簡単に解説します。
●「起訴猶予」とは?
不起訴には、人違いなどで犯罪の疑いが晴れた「嫌疑なし」、証拠が足りない「嫌疑不十分」、そして「起訴猶予」などの区分があります(事件事務規程75条2項)。
起訴猶予は、検察官の調べで犯罪の疑いが十分に認められ、起訴することもできるのに、裁判にかけるまでの必要はないと検察官が判断したときの処分です。
令和5年に不起訴になった人の約7割は、この起訴猶予でした(令和6年版犯罪白書)。
●なぜ起訴されなかった?
刑事訴訟法248条は、「犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときは、公訴を提起しないことができる」と定めています。
このなかで、たとえば被害者との示談や被害の弁償は「犯罪後の情況」にあたり、被害者が処罰を望まない気持ちもあわせて考慮されます。
猪俣さんの事件では、女性との示談が成立したと報じられています。
けがが軽く、前科がなく、示談が成立している傷害事件であれば、起訴猶予となることは珍しくありません。
また、猪俣さんは所属事務所から専属契約を解除されています。
こうした社会的な制裁も、事情の一つとして考慮されることがあります。
なお、今回、地検が具体的に何を考慮したのかは明らかにされていません。
もちろん、示談が成立したからといって、必ず起訴されないわけではありません。
けがの重さや暴行の内容、前科の有無なども合わせて判断されます。
小倉匡洋(弁護士ドットコムニュース編集部記者・弁護士)