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トイレの便座に「強力接着剤」を塗る「悪質ないたずら」 犯人はどんな罪になる?
公衆トイレの便座に接着剤を塗るという「いたずら」が、アメリカで相次いでいるという

トイレの便座に「強力接着剤」を塗る「悪質ないたずら」 犯人はどんな罪になる?

公衆トイレの便座に接着剤を塗るという「いたずら」が、アメリカで相次いでいるようだ。報道によれば、ジョージア州の家庭用品店の女性用トイレで12月上旬、強力な接着剤が塗られた便座に腰を下ろした女性が立ち上がれなくなり、救急隊が出動する事態となった。

マンガに出てきそうな光景だが、この事件で女性は負傷している。笑いごとでは済まされない事態となっているのだ。もし、同様の事件が日本で発生したら……。やはり、何らかの犯罪になってしまうのだろうか。伊藤諭弁護士に聞いた。

●傷害罪と威力業務妨害罪が成立しうる

「まず、このトイレを利用してしまった客に対して、傷害罪(刑法204条)が成立します。

犯人は、誰が利用するかというところまで明確に認識はしていないでしょうが、誰かがこのトイレを利用すれば、その人が怪我をすることが十分に予想できる行為だからです。

また、店に対しては、威力業務妨害罪(刑法234条)が成立する可能性があります」

ここまでやってしまうと、到底いたずらで済まされるレベルではないようだ。伊藤弁護士は、問われる責任はこれだけにとどまらないとして、次のように続ける。

●治療費や慰謝料に加え、トイレの復旧費用も

「刑事責任とは別に、民事上の損害賠償請求を受けることがあります。

現にこのトイレを利用してしまった客からは、治療費その他の実費に加え、慰謝料を請求されることになるでしょう。

何の落ち度もない客が相当恥ずかしい目に遭うわけですから、通常の相場よりも高額の慰謝料額が認められる可能性があります」

さらに、店からの請求もあるだろう。

「もちろん、店からも、発生した損害について賠償請求を受けることになるでしょう。

損害の範囲については、具体的には、復旧に必要な実費や、仮に休業を要した場合はその損害などが考えられます。どの範囲まで認められるかはケースによって大きく異なります」

伊藤弁護士はこのように述べ、さまざまな責任を問われうることを指摘していた。こうした点をきっちりと理解し、笑えないいたずらで他人に大迷惑をかけることのないようにするべきだろう。

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

伊藤 諭
伊藤 諭(いとう さとし)弁護士 弁護士法人ASK川崎
1976年生。2002年、弁護士登録。神奈川県弁護士会所属。中小企業に関する法律相談、弁護士等の懲戒請求やトラブル対応などを手がける。第一法規「懲戒請求・紛議調停を申し立てられた際の弁護士実務と心得」著者。

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