2020年01月23日 16時08分

奈良市職員、駅ホーム間を「大ジャンプ」で炎上 おバカ動画の代償は?

奈良市職員、駅ホーム間を「大ジャンプ」で炎上 おバカ動画の代償は?
問題の画像

奈良市の30代男性職員が、駅のホームから別のホームに飛び移ろうとした問題行動が炎上した。近鉄奈良駅でジャンプしようとした様子を撮影した動画がネット上で拡散し、バカげた行為を非難する声が奈良市に殺到した。

この行動の問題点を鉄道事情に詳しい弁護士が解説する。

●撮影されたバカ動画

男性職員は走り幅跳びの要領で隣のホームへ大ジャンプしたが、着地に失敗してお尻から線路内に落下してしまった。笑いながら立ち上がってホームに這い上がるまでが撮影されている。男性職員は撮影者の友人と酒を飲んだ帰りに同駅を利用したという。

友人はインスタグラムに「線路ジャンプ」の動画を限定公開(知り合いだけが閲覧可能な設定での公開)して、後に削除したのだが、1月18日になると何者かの手でツイッターに拡散されてしまった。

あっという間に男性職員の身元が特定され、奈良市には非難が相次ぐことに。市の担当者が1月20日に会見して謝罪した。近畿日本鉄道の広報担当者は1月22日、弁護士ドットコムニュース編集部の取材に「警察には報告しているが、さらに被害届を提出するかは検討段階」とする。

男性職員は市の聞き取りに「酔っていて覚えていない」など話しているという。「線路ジャンプ」は自身の安全だけでなく、遅延や救助などで多くの人に迷惑をかける危険性があったと考えられる。ホームからホームに飛び移ろうとして線路に転落することは、どんな法律に違反するのか。甲本晃啓弁護士に聞いた。

●威力業務妨害、建造物侵入罪などの罪にあたる可能性

隣のプラットホームへの飛び移りは、線路内への立ち入りと同様にやってはいけない行為です。踏切のない線路を勝手に渡るのと同じ行為で、鉄道運行を妨害した場合に威力業務妨害罪にあたる可能性があります。

また、利用者立ち入りが制限されている駅構内への立ち入りと解釈され,建造物侵入罪にあたる可能性があります。

どちらも最高3年の懲役が規定されていて決して軽い罪ではありません。さらに、ホーム上で勢いをつけて飛び移った結果、他の利用者と衝突するなどして他人に怪我を負わせてしまうと、過失傷害罪等にあたる可能性もあります。

●自動で列車運行をストップさせる可能性がある

多くの鉄道で現在採用されている運行システムは安全性が高く、線路上の異常が通報されると、即座に列車防護無線と呼ばれる信号が周辺の全列車に自動的に送られ、運行をストップさせる仕組みになっています。

一旦ストップすれば、安全確認が済むまでの間は運行を再開できないため、飛び移りで運行を停止させた場合には民事的な損害賠償責任が生じます。

特に、ホームの飛び移りについて、列車運行に支障を与える可能性がある事例は以下のようなものが考えられます。

(1)係員や他の鉄道利用者が危険だと判断してホーム上の非常通報ボタンを押すケース。

(2)周囲に人が見当たらず、通報されることもないであろうと思っても、ホームから落ちて転落検知マットなどを踏むなどの物理的な安全装置が作動して自動的に通報されるケース。

(3)たとえ飛び移りに成功しても、ホーム上の監視カメラの画像の自動解析により線路内への立ち入りが検知されて自動的に通報されるケース。

●感電など「自らの命も大きな危険にさらす」

一般的な鉄道は、ホームの高さが1メートル以上あり、下にはバラストと呼ばれる砕石が線路に向かって盛り上がるように敷き詰められていることが多いため、転落すれば怪我をする可能性もあります。

路線によっては,線路脇に列車に電気を供給するための第三軌条と呼ばれる送電用の別の線路が設けられていて、触れて感電する危険もあります。

列車が来ないと思っても,ホーム上の案内表示にない通過列車や回送列車、はたまた貨物列車が突然通過することもあります。飛び移り行為は、他の鉄道利用者に多大な迷惑をかける可能性があるだけでなく、自らの命も大きな危険にさらす行為です。このような危険で違法な飛び移りは運動神経にいくら自信があっても絶対にやってはいけません。

取材協力弁護士

甲本 晃啓弁護士
東京・日本橋兜町に事務所を構える弁護士・弁理士。東京大学大学院出身で、専門は分子生物学、元ウイルス学の研究者でPCR分析にも明るい。鉄道・航空の安全に関する造詣が深く、多くの企業法律顧問を務める。弁護士の専門分野はIT、著作権・商標権。
事務所URL:http://komoto.jp

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