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「これは売春だ」 ホテルで偽の「警察手帳」を女性に提示した男性の罪は?
画像はイメージです(mits/PIXTA)

「これは売春だ」 ホテルで偽の「警察手帳」を女性に提示した男性の罪は?

出会い系サイトで知り合った女性に、偽物の警察手帳を示したとして、大阪メトロの男性社員が今年5月、偽造公記号使用の疑いで在宅起訴された。大阪地裁で7月中旬に開かれた初公判で、男性は起訴内容を認めたという。

報道によると、男性は2018年12月、大阪市内のホテルで、当時25歳の女性に、「POLICE」と書かれた偽造記章の付いた偽物の警察手帳を示して、警察官を装った罪に問われている。

事前に10万円の支払いで約束していたが、男性が、ホテルで「これは売春になる」と手帳を示したところ、女性は驚いて逃げたという。手帳はネット通販サイトで購入していたということだ。

●公務所の信頼保護のためにある罪

あまり「偽造公記号使用」という罪は耳慣れないが、どのような犯罪なのだろうか。冨本和男弁護士が解説する。

「偽造した公務所の記号を使用すると罪に問われます(刑法166条2項)。これが『偽造公記号使用』です。公務所とは、公務員が職務をおこなう場所のことです。今回の事件でいえば、『POLICE』と書かれた偽造の記章が『偽造した公務所の記号』ということになるでしょう。

ほとんどの人は、警察手帳に『POLCE』と書かれた記章がついていれば、それが本物かどうか疑いませんし、『公務所』が関わっていると信頼することでしょう。『偽造公記号使用』の罪は、こうした信頼を保護するためにあります」

なお、大阪メトロ広報は、弁護士ドットコムニュースの取材に、男性社員が在宅起訴されたことについて「把握している」と回答したが、一方で「詳しい内容は申し上げられない」としている。現時点で、男性社員の処分はしていないという。

プロフィール

冨本 和男
冨本 和男(とみもと かずお)弁護士 法律事務所あすか
債務整理・離婚等の一般民事事件の他刑事事件(示談交渉、保釈請求、公判弁護)も多く扱っている。

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