「画像を投稿すると、閲覧者が増えてうれしかった」。自身の裸画像をツイッターに投稿したとして、愛知県警は少年少女5人を3月25日までに書類送検した。容疑は児童買春・ポルノ禁止法違反。
報道によると、5人は14~17歳の中学・高校の女子生徒4人とアルバイトの少年。自身の下半身など、わいせつな画像や動画を投稿し、不特定多数が閲覧できるようにしていたとみられる。いずれも容疑を認めているという。
児ポ法の保護対象である18歳未満であることから、ネットでは「何を保護している法律なんだろう」という意見や、自発的な公開であることを指して「被害者のいないものを取り締まるのって、おかしい」という声も出ている。
どうして、18歳未満なのに書類送検されてしまったのだろうか。児童ポルノ禁止法にくわしい奥村徹弁護士に聞いた。
●「児童の権利保護のために児童を検挙する』という奇妙な結果
「容疑として考えられるのはわいせつ電磁的記録媒体公然陳列罪と児童ポルノ公然陳列罪です。
わいせつ電磁的記録記録媒体公然陳列罪については、画像がわいせつであって、不特定または多数の者が閲覧可能な状態になっていれば成立します。
児童ポルノ公然陳列罪については、児童ポルノの定義においても公然陳列罪の構成要件においても児童自身による場合を除外していませんので、今回は児童自身による児童ポルノ公然陳列容疑で、検察官に送致されたものと思われます」
児童自身が書類送検されたことに、違和感がある人が多いようだが。
「確かに、児童ポルノ罪の保護法益を純粋に描写された児童個人の利益だとすると、今回の場合、『当該児童の権利保護のために当該児童を検挙する』という奇妙な結果になります。
法律をつくった議員による解説書でも、改正前の7条1項の提供罪(現7条2項の提供罪)について、次のように個人的法益を重視しています。
『罪が保護しようとする対象は、主として描写される児童の尊厳にあると考えられますから、当該児童ポルノにおいて描写される児童がその交際相手に対して…提供する場合のように…提供行為について真摯に承諾し、かつその承諾が社会的に見て相当と認められる場合には、違法性が認められない場合もありうると考えられます』(森山真弓、野田聖子『よくわかる改正児童買春ポルノ法』P190)」
ではなぜ今回、書類送検されたのか。
「現在は『児童を性的対象とする社会的風潮を除去する』という社会的法益を守ろうとする考え方が強いのです。そのため、実務では、児童自身による児童ポルノ公然陳列罪もありうるという考え方が主流になっています。
『児童保護のために児童を処罰する』という形式の規定は、ほかにも次のような例があります。
(1)満18年未満の者の選挙運動の禁止(公職選挙法239条1項1号、137条の2)
(2)インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律の誘引行為(33条、6条2号・4号)」
では、今回送検された未成年者の処分はどうなるのだろうか。
「少年法の保護手続によりますが、家庭裁判所で調査されて、ほかに非行がなければ、審判不開始ないし不処分で終わるものと思われます」
奥村弁護士はこのように述べていた。