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客が食べ残した「うどん」を公園に撒き散らす…威力業務妨害になる理由
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客が食べ残した「うどん」を公園に撒き散らす…威力業務妨害になる理由

客が食べ残したうどんを公園に捨て、公園管理者の業務を妨害したとして、愛知県警東署は10月31日、うどん店店主の男性を威力業務妨害の疑いで緊急逮捕した。

報道によると、男性は10月23日未明、名古屋市内の公園で、客が食べ残したうどんをまき散らすなどして、公園を管理する市の土木事務所の業務を妨害した疑いが持たれている。3年以上前から、店から約4キロ離れた公園で、1週間分のうどんや野菜などの残飯を毎週捨てていたという。

公園近くには小学校があり、児童らが休み時間などに利用しているため、放置される度に学校職員らが清掃を実施していた。

男性は、「公園の管理を邪魔するつもりはなかった」と供述しているというが、一般的に、威力業務妨害罪は業務を妨害する意図がなくても成立するのか。冨本和男弁護士に聞いた。

●さまざまなケースが「威力」にあたる

「結論から言うと、威力業務妨害罪が成立すると考えます。威力業務妨害罪は、人の業務活動、要するに人のお仕事を保護するために定められた犯罪類型です。威力を用いて人の業務を妨害した場合に成立します。

『業務』というのは、人が社会生活を維持していくために行う仕事ですが、公園の管理もこれにあたります。

また、『威力』というのは、簡単に言えば、人の仕事の妨害となるような行為をあからさまに行うことです。うどんを公園内にまき散らす行為も、公園の管理者に清掃などの余計な手間をかけさせてしまうわけですから、『威力』に当たると考えます。

『威力』という言葉のイメージからすると、暴行や脅迫、物を壊すといったことを想像するかもしれませんが、判例でもさまざまなケースが『威力』にあたるとされています。

たとえば、『デパートの食堂配膳部に20匹のヘビを撒き散らした』『キャバレーの客席で牛の内臓を焼いて悪臭を充満させた』『猫の死骸を被害者の机の引き出しの中に入れた』といったケースです」

男性は「公園の管理を邪魔するつもりはなかった」と供述しているようだ。

「業務妨害罪の故意として、具体的にどのような業務をどの程度妨害するかまでを具体的に認識することまでは求められていません。

一般的に、普通の人であれば、公園内にうどんをまき散らせば、掃除の手間などで公園の管理者に迷惑がかかることは容易にわかるわけでしょう。自分がうどんを公園内にまき散らしていることさえ認識していれば、威力業務妨害罪は成立すると考えます」

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

冨本 和男
冨本 和男(とみもと かずお)弁護士 法律事務所あすか
債務整理・離婚等の一般民事事件の他刑事事件(示談交渉、保釈請求、公判弁護)も多く扱っている。

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