「Romanticが止まらない」のヒット曲で知られるグループ「C-C-B」の元メンバーの男性が7月2日、覚せい剤を所持していた容疑で現行犯逮捕された。
7月6日には、北海道・石狩市議会の現職議員が覚せい剤を使用した容疑で逮捕。7月7日には、ダンスボーカルユニット「ZOO」の元メンバーの男性が覚せい剤を譲り受けたとして警視庁に逮捕されるなど、薬物問題のニュースが後を絶たない。
ニュースを見ていると、覚せい剤を「譲り受けた」「所持していた」「使った」など、逮捕容疑には微妙な違いがあるが、罪の重さも変わってくるのだろうか。刑事事件に詳しい徳永博久弁護士に聞いた。
●「使用」を立証できない場合、「譲り受け」や「所持」で逮捕
「薬物犯罪において『所持』『使用』など逮捕容疑が異なる理由の一つとして、立証の問題があります」
徳永弁護士はこのように述べる。どういうことだろうか。
「薬物捜査の現場においては、規制薬物を『使用』したか否かを尿検査の結果によって判断・立証する必要があります。
薬物を使用した時点から相当の日数が経過したような場合、尿から薬物が検出されないことや、何らかの事情により検査結果が正確に表れないことがあります。
こうした場合に、薬物を譲り受けたことや、所持していたことが明らかで、立証できるのであれば、『使用』ではなく、『譲り受け』『所持』に関する嫌疑で、逮捕・立件ができるというわけです。
反対に、所持していた薬物を全て隠滅されたため『所持』の嫌疑での逮捕・立件が困難な場合でも、尿検査の結果によって『使用』の嫌疑によって逮捕・立件ができることがあります。
このように、相互補完的な捜査実務上の必要性があります」
●罪の重さは同じ
罪の重さは異なるのだろうか。
「覚せい剤取締法や麻薬取締法おいては、『使用』『所持』『譲り受け』『譲り渡し』はいずれも法定刑が10年以下の懲役です。営利目的の場合は法定刑が重くなり、1年~30年の有期懲役もしくは500万円以下の罰金です。
薬物犯罪規制は、薬物の影響で自分自身を傷つけたり、他人を傷つけたりすることを防ぐことを目的にしています。
薬物の『使用』『所持』『譲り受け』『譲り渡し』のいずれも、専門家でない者が危険な薬物に関わることで、その濫用により自分を傷つけたり、他人に危害を加えたりする危険性が高くなるという意味では共通しています。
こうした観点からは、これらの行為のいずれも抑止する必要性は同じです。それぞれ分離して個別に行われる可能性もあることから、それぞれの行為を個別に処罰対象としつつ、その法定刑は同一としています」
徳永弁護士はこのように述べていた。