2015年11月18日 12時29分

高部あい容疑者逮捕・・・出演番組が「お蔵入り」した場合、損害賠償の可能性は?

高部あい容疑者逮捕・・・出演番組が「お蔵入り」した場合、損害賠償の可能性は?
写真:Keizo Mori/アフロ

コカインを所持・使用したとして、麻薬取締法違反の疑いで警視庁に逮捕されたタレントの高部あい容疑者(27)。11月13日に処分保留で釈放されたが、仕事に大きな影響が出ている。報道によると、高部容疑者は、正月特番で放送予定だった大型時代劇に出演していたが、逮捕を受けて放送は延期になった。

特番は、女優の米倉涼子さん(40)が主演するフジテレビの大型時代劇で、すでに撮影を終えていた。フジテレビは「司法の判断を待って対応します」とコメントしている。

もし、有罪になって、番組が「お蔵入り」するようなことがあった場合、制作にかかった莫大な費用はおじゃんになる。テレビ局は高部容疑者に損害賠償を請求できるのだろうか。太田純弁護士に聞いた。

●信用や品位を損なう言動をしてはならないという義務

「まず、契約責任から検討してみましょう。CMの出演契約や、所属事務所とのマネジメント契約などでは、タレントが負う義務として、『イメージ条項』と呼ばれるものが書かれていることがあります。契約相手の信用や品位を損なうような言動をしてはならないという義務を記しています。仮に明文がなかったとしても、契約の趣旨に照らして、同様の義務を認定できることもあります」

では、どんなふうに賠償金は算定されるだろうか。

「問題は、損害の認定と因果関係しだいです。今回の場合は、主に高部容疑者の出番の頻度によるでしょうか。もし、撮り直しできそうな場合は、賠償金額は、他の出演者のスケジュール確保なども勘案して設定することになりますね。

万が一、お蔵入りになった場合、損害は制作費だけではありません。番組スポンサーやテレビ局、あるいは他の出演者への迷惑など、無形の損害も考えられます。こうした損害について、違法行為との因果関係を吟味していくことになります」

損害賠償の請求は、タレント個人に行くのだろうか。

「大物の俳優さんであれば、自身の個人事務所を持っている場合もあるでしょう。しかし、通常は、タレント個人は直接の契約関係にはありません。テレビ局側や制作会社と契約を結ぶのは所属事務所。ですから、賠償義務の負担も、たいていは所属事務所になります。タレント個人は何も負担する必要がないのかという疑問がわきそうですが、これには、所属事務所が『求償』という形式で、負担を求めることになりますね」

実際の現場では、損害をめぐってどのようなやり取りがあるのだろうか。

「実際、被害の算定について、先に述べたような厳密な法的分析をすることは、そう多くはないように思われます。過去にもタレントが薬物犯罪に関与したことで、CMやテレビ番組、映画などに関して、高額な賠償問題になったケースはあります。しかし、それが法廷での争いに発展した例は多くありません。

所属事務所はまず、テレビ局や制作会社、CMスポンサー等との将来的な付き合いを優先して、早期の信用回復に努めます。タレント個人に対する求償ができるかどうかの検討は、その後になるでしょうね。多くの場合、業界慣行に則して処理され、テレビ局やスポンサーの意向に沿った形で解決されているように思われます」

太田弁護士はこのように話していた。

(弁護士ドットコムニュース)

取材協力弁護士

訴訟事件多数(著作権、知的財産権、労働、名誉棄損、医療事件等)。その他、数々のアーティストの全国ツアーに同行し、法的支援や反社会的勢力の排除に関与している。

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