借金・債務整理の解決事例

(その1)借金地獄で自転車操業。しかし、個人で事業をしているので自己破産は回避したいし、車がなくなるのも困ります。[個人事業主の方の債務の法的処理として自己破産か個人再生か]【事務所法人案件】

 男性
この事例の依頼主 男性

相談前の状況 個人事業主と言いますか、便利屋サービスを行っている個人事業主です。

便利屋なので理屈から言えば、なんでもやるという事なのですが、現実には、ほとんどが大規模な掃除の手伝い、ごみの撤去、そして、引越しの手伝いです。

仕事道具と言っても、掃除用具一式と簡単な工具、そして、ハイエースワゴンです。

何がなくても、この車、ハイエースワゴンがないとご飯が食べられません。

従業員はいません。

一時期、最大、2人雇っていたのですが、結局、教えても全然、覚えようとしませんし、何より、この手の仕事は、臨機応変にお客様の要望に応えるという事が大事なのですが、全く、そのような能力がない。

要するに、「気が利かない」のです。

最近の若い人は、という気はないのですが、ちょっと考えれば、ここに荷物を置いたら汚れるかもしれない、傷つくかもしれない、ということで、場所を考えるとか、毛布や段ボールを下にひくとか、ちょっとした人間の感性があれば分かりそうなものですが、それができないのです。

マニュアルがないとか、事前に言われていないから、とか、そんなの全く同じ仕事と言うのは一つもないのですから、できるわけがありません。

それでも、結構、いい待遇で雇ってあげていたつもりです。

売り上げが立たなくて、厳しい時でも、社員の首は絶対に切ってはならない、との信念のもと、銀行や政策金融公庫からの借り入れをして、なんとか、首は切らず、それどころか、一切、給与も減額しないで頑張ってきました。

それなのに、要求ばかりがどんどんエスカレートして、福利厚生がない、とか、普通の会社なら○○してくれるはず、とか、挙句の果てには、ブラックな職場だとか言うのを、従業員が会話しているのを聞いて、いい加減、ブチ切れてしまいました。

「お前はいくら稼いでいるんだ!」

「今月は、売上ないので給料は辞退します、ぐらい言ってもいいんじゃないか?」

「文句ばかりで、営業の1つでもやってみろよ。」

「仕事もとれない。」

「俺がとってきた仕事もきちんとこなせない。」

「そのくせ、いっちょ前に待遇がどうたらこうたらと文句だけ言う。」

「お前らなんかを雇って、今の給料を支払う会社がほかにあるのなら教えてくれよ。」

「なんで、お前らのために、俺が借金まみれになっているんだよ!」

と普段、言わずに耐えてきたことを言ってやりました。

これでも、言い足りないぐらいです。

実際、借金の返済もよそで借りて、返すみたいな状況になっていたので、いい加減、緊張感を持って仕事をしてもらわないと、真剣に破産に向かっていました。

ところがです。

そいつらはつるんで、2人で退職届を出してきました。

しかも、これまでの未払い残業代を支払えと言ってきたので、

「暇な時期は会社に来てもパソコンやスマホ見てくっちゃべっていただけだろ!」

と言い返したら、労働基準監督署から、支払うよう勧告がきてしまいました。

事情は話したのですが、

「労務時間の適正管理は経営者の仕事でしょ?」

残業代は労働法上の当然の従業員の権利ですので、支払わないと大変なことになりますよ、と脅され、

「じゃあ、また借金しろというんですか?」

と言ったら、

「どのように支払いをするかは、労基署は関知しません。」

と冷たく言い放ちました。

そこで、消費者金融とカードローンを目いっぱい使って、仕方なく支払いました。

その後、1人でなんとか頑張ってみたのですが、もはや、返済が追いつきません。

早めに首切っておけば良かったです。

解決への流れ そういうことで、個人事業であるこの便利屋サービスをつづけることを前提として、相談にのってもらえる弁護士さんを探し回りました。

最初に、電話相談したところは、地元でテレビCMとかもやっている大きそうな事務所だったのですが、

「個人事業をやっておりまして、破産でなくて借金の見直しをしたいのですが。」

と相談したところ、それなら、任意整理という形での整理ができます、と言われたので、銀行、政策金融公庫、カードローン、キャッシング、消費者金融と説明していくと、

「これですと、月々、大体58万円ずつをお支払いして、5年で完済というプランがよろしいのではないかと思います。」

と言われました。

「?????」

「あの、今、月20万ぐらいの支払なんですけど、なんで増えているんですか?」

「そんな金額が払えるんなら別に弁護士さんに相談しませんけど。」

と言うと、その方は弁護士でなく、スタッフの方らしいのですが、

「しかし、総額で3500万円もございますし。」

「どれも過払いの対象ではありませんし。」

「もともと、銀行や政策金融公庫は支払期間が長いので、任意整理といっても、支払期間は大体5年程度ですから、月々の支払額はかえって増えるんじゃないでしょうか?」

と他人事のように言います(まあ、他人事なのでしょうが)。

「あの、あなたが、その任意整理って話は言い出したんですよね?」

「私がそうしてくれって頼みましたか?」

あまりに言い方が冷たく、例の労基署の人間を思い出してしまったので、ちょっと感情的になってしまいました。

すると、

「だったら自己破産するしかないと思いますけど。」

「自己破産をしたくないとおっしゃったのは、そちら様ですよ。」

とさらに言うので、

「じゃあ、自己破産したら仕事は続けられるんですか?」

「続けられるのなら自己破産でもいいですよ。」

「その辺を教えてください。」

というと、急に、

「少々お待ちください。上の者に確認してまいります。」

と少々どころか、えらく待たされました。

そして、ついには、

「あのう、別の弁護士事務所にご相談されてはいかがでしょうか?」

「当事務所は、主に、個人の方を対象にしておりまして、会社様とか個人事業主の方を対象にしていないのです。」

「そういうデリケートな案件は、それを専門にされている事務所にご相談された方がよろしいかと思います。」

とさらに、冷たい言い方なので、

「だったら、それはどこの事務所に行けばいいんですか?」

「会社さんとか個人事業主の専門の事務所を教えてください」

というと、

「そういうご紹介はしておりませんし、当事務所でもどこが専門かについては情報を持っているわけでもありませんので。」

とさらに他人事。

「じゃあ、専門にしている事務所があるかどうかも分からないってことでしょ?」

「俺を厄介払いするために、適当なこと言ってんの?」

「お宅がやっているCMとは全然、違うじゃん!」

「どんなことでもご相談ください、って言ってたぞ。」

もう我慢がなりませんでした。

「さあ、そのCMとかを私は見たことないので。」

もう、時間の無駄なので電話を切りました。

そこから、必死の弁護士探しを行いました。

そして、ついに、

「個人事業主の方ですね。」

「自己破産なのか、コジンサイサイかともかく、事業継続できる前提で法的処理ができるかご相談しましょう。」

と言ってもらえました。

小澤 和彦 弁護士 小澤 和彦 弁護士からのコメント 【任意整理で支払いが楽になるとは限らない】

任意整理というのは、弁護士や司法書士が債権者と交渉をして、将来利息のカットや現在よりも負担の少ない支払い月額による内容とした和解をすることです。

裁判所が関与する手続きではありません。

また、様式も決まっていませんし、特に任意整理を規制する法律もないので、裁判手続きである自己破産や個人再生と比べて、手続きが簡単です。

任意整理をすると、以降、将来利息は支払わなくてよくなります。

元本を分割して支払うのみです。

最近は、ほぼすべての金融機関は法定利息内での貸し付けなので、過払い金が生じるという事もあまりなく、利息制限法内にするための引き直し計算というのも必要ないのですが、取引期間が長期にわたる場合(平成19年以前に開始した取引)には、利息制限法の引き直し計算を行います。

そして、減額された場合には減額後の債務額を、3年~7年程度の分割払いで支払う旨の交渉を債権者と行うことになります。

そして、合意した分割払いの内容を和解書という書面で合意することにより、以後は、将来利息のカットの上で長期で分割弁済していくことになり、月々の支払いが楽になる(であろう)というわけです。

なお、将来利息のカットについては、ほとんどのケースで可能ですが、元金の減額ができることは、ほぼありません。

多額の遅延損害金が発生しているケースでは、遅延損害金を減額または免除してもらえることはあります。

裁判手続きではありませんので、自己破産や個人再生の場合のように、裁判所に提出するための書類を作成したり、ご自宅から持ってきていただく必要はありません。

任意整理は、その簡便性から、すべての債務整理の手続きの中で、最もよく利用される形ですが、それをとったから必ずしも支払いが楽になるというわけではありません。

その一番、顕著な例が、もともとの債務の支払の期限が長い借金がある場合です。

金融機関からの事業性の融資ですと、長いものだと10年とか15年の支払のものがあります。

そうしますと、任意整理をすることにより、期間が5年とか長くても7年とかで、支払期間が短くなり、むしろ、月々の支払額ははねあがってしまうのです。

それはそうですよね。

15年で1000万円支払うともともとなっていたものを5年で支払うとすれば、利息のことを考えないでおくと、単純計算で月の支払額は3倍になってしまいます。

しかも、通常、このような事業性の長期融資の場合には、キャッシングや消費者金融の場合と異なり、利息も15%とか18%なんていう高金利のケースはほとんどなく、2%とかですから、短期にすればするほど支払いが苦しくなるのです。

そして、月の支払が苦しくなるもう一つのケースが、もともとリボ払いを利用しているケースです。

リボ払いとは、残債務額にかかわらず、月々の返済額を1万とか5000円とか一定額にしている場合です。

例えば、100万円の残債務があっても、月の支払は1万円だとすると、ここに任意整理をすると、100万円を5年で支払うとすると、月々の支払額は1万6000円となり、1.6倍の返済額になります。

200万円の残債務で月の支払を1万円のリボ払いにしていたとすると、これに5年の任意整理をすれば、月の支払は3.3万円となり、3倍以上になるのです。

「総額で見れば利息がなくなるのでよいですよ」

と言われても、目の前の支払がどうにもなりませんよね。

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