借金・債務整理の解決事例

(その2)子供の教育費で借金が膨れてしまいました。おまとめローンも失敗。住宅ローンもあるので個人再生をしようとするも、ペアローン問題も発生!【事務所法人案件】

 男性
この事例の依頼主 男性

相談前の状況 (前回までのあらすじ)

過度の教育費の投入により、家計は火の車。

もともとは、奥さんもフルタイムで働いていたため、世帯年収1000万円あったため、あまり支出についての緊張感がなかったのか、あるいは、ご主人が家庭の事情で、私立の大学に進学できなかったため、子供たちには早くから高度な教育を受けさせて、国公立大学に進学できる学力を身につけさせたかったというご主人。

もちろん、最終的に、子供たちが、私立ではなく国公立でずっと進学してくれれば確かに学費は大いに変わる筈ですので、ご主人の言っていることも一理あります。

ただし、借金してまで教育にお金をかけるべきだったのか?は今となってはよく分かりません。

ただ、現実問題として、借金の返済が終われており、しかも、奥さんがフルタイムで働けなくなり、世帯収入が減少した以上、なんらかの債務整理は必要です。

そして、最優先事項として、自宅を守りたいという事ですので、自己破産では守れません。

そうしますと、任意整理か個人再生ということになります。

個人再生とは、債務の総額を大幅にカットして、少なくしてもらった借金を分割で返済する方法です。

ただし、住宅ローンがある場合に、住宅ローンをカットしてしまうと、当然ながら、銀行ないし住宅ローン会社が住宅を競売にかけてしまいます。

ですので、住宅ローンは支払い続けなければなりません。

ただ、個人再生においては債権者平等の原則がありまして、特定の債権だけ全額支払うという事は認められておりません。

そこで、この債権者平等の原則の例外として、「住宅ローン特別条項」というものがあり、他の債権は一律にカットしても、住宅ローンだけは全額支払い続けてよいですよ、という特則があります。

ただ、この「住宅ローン特別条項」というのも無条件に使えるわけではなく、条件があります。

それは、「その住宅(持分)に他人の債務のための担保がついていないこと」という条件です。

もともと、住宅ローン特別条項として、住宅ローンだけ特別扱いを認めるのは、住宅ローンの支払いを継続して、住む場所を確保させてあげよう、という趣旨です。

ですが、他人の債務のための担保がついているとすれば、その他人が債務の支払いをしなければ、どうせ、その家は担保として処分される(競売にかけられる)ことになります。

そうだとすると、住む所を確保してあげるための住宅ローン特別条項は認める必要がないじゃないか、という考えにつながります。

そして、ペアローンの場合には、まさに、

「他人の債務のための担保がついている」

という条件に当てはまってしまうので、原則として、住宅ローン特別条項は使えない、とされているのです。

ただし、普通に考えて、他人と言っても、自分の妻で、同じ世帯なのに、そんな杓子定規に考えて、住宅ローン特別条項をはじいていいのか?と思われます。

ですので、ペアローンの取り扱いは裁判所によっても異なりますが、絶対に住宅ローン特別条項を使えない、ということはないのです。

相談者の方は、当初、別の弁護士事務所に行って、ペアローンだから、住宅ローン特別条項を使えない、使いたければ妻も一緒に個人再生するしかない、それも嫌なら破産しろ、と言われて、慌てて妻に話したら、妻に怒られました。

そして、当事務所にいらっしゃいました。

解決への流れ いちばん下の子は妻の両親にも預けられなかったので、下の子も一緒に、弁護士事務所に連れていくことになったのですが、女性の事務員さんがやさしく応対してくれて助かりました。

弁護士さん曰く、

「ペアローンの取り扱いについては、その最初の弁護士さんが言っていたことは確かに教科書通りではあります。」

「奥さんは、住宅ローンのほかには借金はありますか?」

と妻にいろいろ質問し始めましたので、妻が何と答えるか緊張しましたが、普通に口を開いてくれました。

「私は何もありません。」

「もともと借金をするのは好きじゃないんです。」

「子供たちの教育にお金をケチるつもりはないですけど、借金はかえって子供たちのためにならないと思っているんです。」

「それをこちらの人(私のこと)が、教育は投資だとか、どこかで聞きかじったような話をして・・・・」

などと妻が段々私に対しての怒りをヒートアップさせていきそうでしたが、弁護士さんがうまく調整してくれました。

「まあまあ、その辺の話は、奥様もいろいろご不満もあるでしょうし、これを機会に、教育や家計の話はきちっとした方がいいとは私も思いますけど、今はこの借金の問題をスピーディーに解決に向けて進めていかないと、そのうち借金の支払いが滞って、債権者から訴訟を起こされるようなことになりますと、それこそ大変なことになるので、そのお話を先にしましょう。」

「それで、奥さんには借金もなくて、住宅ローンを今後も円滑に支払っていけるという事ですよね?」

「まあ、パート扱いとはいえ、住宅ローンは支払えるようにと計算したうえで働いています。」

「そうしますと、おそらく、奥さんについては個人再生を申し立てせずに、再生委員をつけることで対応ができると思います。」

「?????????」

「つまりですね。」

「なんでペアローンの場合に、住宅ローン特別条項付きの個人再生を認めないのかと言うと、ご主人の方の個人再生をしたとしても、もし、奥さんの方の経済事情から、奥さんが住宅ローンの支払いを継続できず、家が競売になってしまったりすると、せっかくご主人のために行った個人再生が無駄になってしまうからです。」

「ですので、ご主人の個人再生を奥様とご主人が一体となって履行できることが、再生委員の調査により確認できるのであれば、奥様の個人再生は不要となるでしょう。」

「実際、住宅ローン以外に債務がないのに個人再生するなんて費用と時間と手間の無駄だしね。」

私は、内心、

「なんだよ。妻が個人再生しなくていい方法があるのなら、妻を連れてくるんじゃなかった!」

と思いましたが、案の定、妻は、

「あなたは何を聞いてきたの?」

と声が明らかに怒っていました。

私は、

「本当に、俺が前に聞いたときは、夫婦一緒に個人再生を申し立てないといけないことになっているって言われたんだよ。」

とうろたえる私を助けてくれて、弁護士さんは、

「まあまあ、弁護士もいろいろですから。」

「それはそれとして、今後、個人再生を申し立てると、いろいろな書類、家計簿とか、源泉徴収票、給与明細、預金通帳の写し、保険関係の書類、住宅ローン関係の書類、その他、奥様のご協力が必要な局面が少なからずあると思いますので、そちらはよろしくお願いします。」

とまとめてくれました。

https://債務整理新潟.com/

小澤 和彦 弁護士 小澤 和彦 弁護士からのコメント その後も奥さんはてきぱきと質問してきました。

「費用はどうしたらいいですか?」


「それは一括で難しいという事でしょうから、分割で積み立てて頂きます。」

「具体的には、住宅ローン以外の債権者に対してはこれから支払いを一旦、停止しますので、その間にコツコツ積み立ててください。」

「毎月いくら払えばいいんですか?」

「決まりはないので、無理のないところでお願いします。」

「ただし、積み立てあがる期間があまりに長期になると、そのうち債権者が待っていられないとしびれを切らして訴えを起こしてくる場合があるのと、遅延損害金がかかってくるので、個人再生により借金の額は8割カットにはなりますが、あまり長期もどうかなと。」

「例えば、これまで月々の返済が住宅ローン以外で約15万程度ですが、6万ぐらいの積み立ては可能ですか?」

「6万ぐらいなら大丈夫です。」

「なんなら、もう少し多めでも大丈夫です。」

「その方が早く手続きが進むんですよね?」

「繰り上げて積み立てる場合にはどうすればいいですか?」

「その場合には、多めに振り込んでください。」

「では、最低月6万円は積み立てて頂くとして、そのほかに余裕があるときは、多めに積み立てるという事でお願いします。」

「分かりました。」

こんな感じです。たしかにちょっと怖そうでしたが、頭の回転の速い、頼もしい奥さんでした。

その後も、ほとんど、弁護士事務所とのやりとりは奥さんがやってくれました。

ご主人しか分からない書類等もあったので、ご主人にお伺いしたこともあるのですが、あるはずの書類がないとか、しまった場所が思い出せないとかで、奥さんに

「だらしない」

「管理能力がない」

などと、キレられることもあったようです。

ただ、困ったことが判明しました。

車です。
 
もともと、債権者への通知を出す前に、

「住宅ローンを継続して支払うのは全然いいんですけど、車のローンは支払いが継続できないんです。」

「ですので、通知を出すと、すぐにローン会社から車を引き揚げさせろ、と言ってくるはずで、それを拒むのは所有権留保がついている以上は難しいんです。」

「どうしても車を維持しようとすると、ご主人以外の名義、例えば、奥様名義とか他のご親族名義とかで一括払いしていただくほかないんです。」

とお話ししたところ、

「残ローンが100万以上あるので、それは無理だと思います。」

「車は諦めます。」

「それで、何か中古の安い奴を買うことにします。」

とおっしゃっていたのですが、

なかなか安くていい車というのが見つけられず、予算が20万ほどオーバーしてしまったらしいのです。

「あのう、相談する先が違うというのは重々承知なのですが、車がないと仕事にならないもので、どうしたらよいかということをご相談したくて・・・」

と端的に、予算が20万オーバーしてしまったとのことでした。

そこで、通常はやらないのですが、積み立てを取り崩して、車の購入費用に充てて頂きました。

「なるべく早くに積み立て戻しますので!」

とおっしゃっていました。

通常は、積立金の取り崩しはあまりしません。

別に、ケチっているわけではないのですが、これを契機にずるずると申し立てができなくなっていくケースが結構あるのです。

ただし、今回は、奥さんがしっかりしているので大丈夫だと思って取り崩しをしました。

実際、その後、頑張って、予定よりも4カ月ほど遅れましたが、他は、着々と申請書類も整い申し立てに至ることができました。

小澤 和彦 弁護士
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