(その1)一時は退職を覚悟しました。ゲーム・アイドルにドはまり人生からの復活。公務員なので自己破産手続きは不可能だと思っていました。【事務所法人案件】
相談前の状況
〈借金を抱えるに至った経緯〉
ゲーム課金にハマってしまいました。
最初は、本当に暇つぶし程度で、しかも、全くお金をかけずに、ゲームを楽しむだけだったのですが、段々と進むごとに、そのステージをクリアすることが難しくなり、そこで、ちょっとした武器のアイテム等を購入することになったのがゲーム課金の始まりです。
1つ1つは、100円とかそんなものなんです。
「普段、一生懸命に働いているんだし、そんな数百円ぐらいは良いんじゃないか?」
「ほかの人達は、ゴルフをやったり、飲みに行ったり、自転車を買ってロードサイクルやっているんだから、それに比べればかわいいもんだ。」
そういう意識でした。
ところが、段々とハマってしまい、今日は、ここまでにしよう、あと1ステージだけクリアしたらもう止めよう、と思うのですが、何やら頭が冴えてしまい、眠れないからもう1ステージだけやろう、と気がつけば夜が明けてしまい、疲れた体とボーっとした頭で出勤する、などということもありました。
そして、一つのゲームを攻略すると、今度は、もっと面白い、やりがいのあるゲームはないのか?とまた別のゲームを探す、という有様でした。
とにかく、早く仕事を切り上げてゲームをすることだけが全てだった時期です。
本当に今思えば酷い生活をしていました。
さらにひどいことには、会社というか(公務員ですが)、共済組合からの貸し付け制度があり、そのお金も借り入れてしまいました。
それも、ゲーム課金の為です。
さらに、それだけではないのです。
今度は、ゲームから派生して、あるアイドルにハマってしまいました。
もともとは、そのアイドルを主役にしたゲームをやっていただけだったのですが、そのゲームをやっているうちに、知らぬ間に、今度は、リアルでそのアイドルに会ってみたいという気持ちになってしまいました。
ライブに行くとしても、地元でやる講演は数少ないので、自ずと大都市圏、東京、大阪、名古屋に行く必要が出てきます。
ライブに行ったら行ったで、ライブに行くだけでは飽き足らず、握手会にも行きたいと思うようになり、そのためにはCDを購入しなければなりません。
そして、さらには、そのアイドルを応援するためにグッズを購入することも必要となってきます。
結局、CD、DVD、グッズ、ライブと、こちらも相当なお金を使ってしまいました。
できた借金の額は400万円程度で、当初は、自分は公務員は自己破産すると失職すると思い込んでいて、そのため、一番最初に相談に行った司法書士事務所では、自分は絶対に破産はできないと言われてしまいました。
そうしましたら、そちらの司法書士事務所では、任意整理と言って、それまでの借金を長めの分割払いにすることをやってくれました。
それはそれで利息がなくなって良かったのですが、共済組合からの貸し付けについては、
「これを任意整理の対象にすると、おそらく解雇されることになります。」
と言われましたので、そちらは、そのまま支払いを続けることにしました。
しかしながら、月10万円程度の支払いを続けて、かつ、その司法書士事務所の費用も支払い続けたので、全く続かなくなりました。
賞与で少し余裕が出るかもと思ったのですが、賞与分については、毎月ではない一時的な支払い・支出にも回さなければならなくなり、やはり、支払いを継続するのは困難な状況になってしまいました。
それで、今度は弁護士事務所に相談することになったのです。
解決への流れ
最初の面談で弁護士の人から言われた言葉が衝撃的でした。
「なんで、払えもしない任意整理なんてしたんですか?」
私は、
「払うのはきついと思いましたが、首になると困るので・・・」
とありのままに答えましたが、
「別に公務員だからって破産したら首になるってことはないですよ。」
私は、
「それではこれまでの任意整理をしたのはなんだったんだ」
とガッカリするとともに力が抜ける気がしました。
ただ、もう一つの気になること、
「破産しても首にならないのは分かりましたが、実は、共済組合からお金を借りているのです。」
「あともう少しで完済できますが、自己破産をするとその共済組合からの借り入れについても支払いできなくなるんですよね?」
「さすがに、共済組合の借金をチャラにするような真似をしたら首になると思いますが・・・。」
「ならないです。」
「ならないですが、非常に気まずいというか職場にいずらくなるでしょう。」
「会社からすれば、従業員に金を貸して、それを給与から天引きしていこうと思ったのにそれができなくなるのですからね。」
「それでは、どうしたらよいでしょうか?」
「もし、可能であればですが、ご親族か誰かに頼んで、会社への支払い分を一括返済してもらうことです。」
「今、あなた自身が支払うのは偏頗弁済と言って、破産を申し立てた後に問題になります。」
「つまり、あなたが返済したとしても、特定の債権者にのみ返済をしたとして、破産管財人が結局、会社に取り戻しにかかります。」
「要するに、会社側からすると、せっかく返済してもらった分をまた管財人に返さなければならなくなるのです。」
「もし、会社側が『そんな返済が大変になっているなんて知らなかった』と返済を拒むとすると、破産管財人が訴えてくるかもしれません。」
「ただ、本当に、会社が善意で受取ったのだとすると、破産管財人に返済しなくても済むかもしれませんが、そうすると今度はあなたがその分の返済をしなければならなくなるかもしれません。」
「分かりやすく言うと、『会社に支払ったのは無効だから、その分は破産管財人に返済しなさい』と言われるのです。二重払いさせられるわけですね。」
「とまあ、この話は、会社に返済してくれる人がいるか、会社に返済できる金がある場合の話です。」
「それが難しいという場合には、もう1つ手があります。」
「それはなんでしょうか?」
「会社に、『すいません』というのです。」
「さすがに、それだと・・・」
「さっき、先生も『非常に気まずいというか職場に居づらくなるでしょう。』と言っていましたよね。」
「そう。だから、借金を未来永劫、返さないことになるとそうなるのでしょうが、そうではなく、今回の破産手続きが終わった後のことは、相談させてくださいって言うんです。」
「??????」
「だからね。破産すると全ての債務については支払い義務はなくなるんですが、その後に、あなたが自発的に迷惑をかけた債権者の方になんらかの償いをするのは自由なんですよ。」
「どうせ、会社を続けるのですから、いくらでも償いをするチャンスはあるでしょう。」
「多分ね。その話をすると、あなたは、ゲームがどうとか、アイドルがどうとか、そういう話になるから躊躇しているんでしょうけど、別に借金の原因まで言わなければならない義務はありません。」
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小澤 和彦 弁護士からのコメント
それでも、相談者の方は、不安そうでしたので、
「もし、それもこれも、どうしても不安だという事であれば、私があなたの上司なのか、人事部なのか、総務部の人とうまく話してあげますから、いずれにせよ、あなたは首になることはないし、会社で居づらくさせられることもない。」
「ただ、気持ちはしっかり持ってください。」
「あんまり、おどおどしたり、不安がったりしないでください。」
「そうしないと、今回の問題とは別に、あなたの勤務状況ないし勤務成績の問題として、職場で浮いちゃうかもしれないですよ。」
と励ましましたが、やはり踏ん切りがつかないようでした。
それで、依頼者の方は、一度は、両親に会社への支払いができないかを聞いてみようと思ったのですが、ちょうど折悪しく、父親が心筋梗塞で入院するという事件があり、とても、このような話を切り出せるタイミングはなかったとのことです。
そして、もともと、自分のことで親に迷惑をかけるのも忍びないと思っていたので、結局、「会社に素直に言う」作戦を実行することになりました。
さすがに、切り出す前には、『こう言われたらどうしよう』、『これはなんて説明しよう』と考えるだけで夜が明けるようなこともあったそうです。
そしてとある日、課の課長に、
「すいません。」
「ちょっとお話が。」
「・・・というわけで、これからは、共済組合への返済ができなくなるのです。」
と話をしました。
これについての課長の反応は、
「なあんだ。」
「そういう話か。」
「てっきり辞めるって言うのかと思ったよ。」
「俺も実際どうなるのかよく分からないけど、組合は組合、会社は会社だから、直接は関係ないだろ。」
「まして、弁護士まで頼んでいるのなら、そういうのは任せておけばいいんじゃん。」
「総務課長にも言うけど、同じことを言うと思うよ。」
「まあ、あんまりクヨクヨするな。お前の借金のことをそんなに気にするほど、皆、暇じゃないよ。」
と言われて、
「ご迷惑・ご心配かけてすいません。」
と、予想外の対応をされて、不覚にも泣いてしまいまったそうです。
ただし、その後、そんなに簡単に進んだわけではありませんでした。
やはり、共済組合の担当者から、いろいろな書類が送られてきて、その中に、「始末書」と「支払い計画書」っていう書類も含まれていました。
そのことを伝えられて、どのように記載すればよいのかを尋ねてきたので、
「そんな書類に絶対にサインしては駄目ですよ。」
「その共済組合の担当者さんも破産の手続きとか決まりとかは分かっていないみたいなので、こちらで直接話しますので、連絡先を教えてください。」
と言いました。
そして、共済組合から送られてきた書類一式とともに弁護士事務所にメールしてもらいました。
その後は、直接、弁護士と共済組合とやりとりをして、破産の仕組み上、偏頗弁済をするわけにはいかない旨を説明し、ご本人にはピタッと連絡がいかなくなりました。
それはそれで何か不気味な気がしたのか、弁護士事務所に、
「こちらには何も言ってこないのですが大丈夫ですか?」
「何か私にすべきことはありますか?」
「このまま、突然、首になったりとかはないでしょうか?」
等々、不安から、メールで連絡が来ておりました。
その都度、大丈夫とは言っていたのですが、不安が消えないようなので、申し立て前に最後の打ち合わせという事でご来所いただくことにしました。
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