遺産相続の解決事例

突然の養子縁組無効訴訟。遺産の権利を確定させる合意書作成と「死後離縁」手続の全面サポートで円満解決した事例

40代 男性
この事例の依頼主 40代 男性

相談前の状況 依頼者は、幼少期(約50年前)に実父の代諾により養親夫婦と養子縁組をしていました。その後、年月が経過して養母が他界し、さらに養母の親族が亡くなったことで新たな相続が発生しました。依頼者は養母の代襲相続人として、相続手続代行業者を通じて法定相続分を受け取る手続きを進め、遺産分割に関する書類に署名・捺印をして遺産の一部を取得することに同意していました。
ところがその後、事前の連絡や話し合いが一切ないまま、突然、養母の実子(相手方)から依頼者を被告とする「養子縁組無効確認訴訟」を家庭裁判所に提起されました。 相手方の主張は、「約50年前の養子縁組は養母の知らないところで行われたものであり、縁組意思を欠くため無効である」というものでした。
依頼者にとっては青天の霹靂であり、もし相手方の請求が認められて養子縁組が無効となってしまえば、依頼者は代襲相続人としての地位を遡及的に失うことになります。その結果、すでに手続を終え受領する予定(または受領済み)であった遺産を返還しなければならない重大なリスクが生じました。突然の訴訟提起に不信感と不安を抱いた依頼者は、今後の対応について当事務所にご相談にお越しになり、訴訟対応をご依頼いただきました。

解決への流れ 受任後、まず相手方の請求を棄却するよう求める答弁書を作成しました。約50年前の出来事について「縁組意思がなかった」とする相手方の主張には客観的な証拠が一切ないことを強く指摘し、法的に徹底して争う姿勢を示しました。
一方で、依頼者の真の希望をヒアリングしたところ、依頼者自身も養家との関係に強い執着があるわけではなく、「現在進めている遺産相続の権利が守られるのであれば、将来に向けて養家との親族関係(法的関係)を解消すること自体には異存はない」とのことでした。 そこで、第1回口頭弁論期日において、裁判官を交えた協議の中で、当方から「本件訴訟を取り下げるのであれば、依頼者の方から家庭裁判所へ『死後離縁』の手続きを行う」という現実的な解決策を提案しました。相手方の本来の目的も「将来の自身の相続などに依頼者が関与してくるのを防ぐこと」であったため、この提案が受け入れられ、裁判外で和解することとなりました。
和解の成立にあたっては、依頼者の最大の懸念を払拭するため、合意書の条項に細心の注意を払いました。単に「訴えの取下げ」と「死後離縁の実施」を約束するだけでなく、依頼者が本件相続において取得する遺産に関する権利を確定させる文言を盛り込みました。さらに、名目の如何を問わず今後一切の請求を相互に行わない旨の強力な清算条項(名文言)を規定し、将来のトラブルの火種を完全に消し去りました。
合意締結後、訴訟は無事に取り下げられました。当職は引き続き代理人として、家庭裁判所に対する死後離縁許可申立ての手続きを行い、無事に許可審判を獲得しました。さらに、審判確定後の役所への届出に至るまで一貫してサポートを行い、依頼者に一切の不安を残すことなく本件を無事に解決へと導きました。

平山 友喜 弁護士 平山 友喜 弁護士からのコメント 本件は、約50年前という非常に古い養子縁組の効力が、親族の相続発生を機に突然争われたという事案でした。客観的に見て、以下のような特色と成功のポイントがあります。
第一に、「判決」ではなく「死後離縁を活用した和解」を選択した点です。 仮に判決まで徹底的に争い勝訴(縁組有効)したとしても、親族間の感情的なしこりは残り、将来新たな相続が発生した際に再びトラブルになる可能性がありました。他方で敗訴すれば、遺産の返還義務が生じます。そこで、過去に遡って縁組を無かったことにする「縁組無効」ではなく、将来に向かってのみ親族関係を解消する「死後離縁」という別の法的手続きを交渉のカードとして提示したことが、双方にとって納得のいく早期解決(Win-Winの結果)を生み出しました。
第二に、将来の紛争を予防する「完璧な合意書」の作成です。 訴訟の取下げだけで終わらせてしまうと、「後になってから遺産の返還を求められるのではないか」という依頼者の不安は消えません。そのため、合意書の中で、今回の相続により依頼者が受領する遺産について明確に権利を確定させ、今後のいかなる金銭的請求も封じる明確な条項(清算条項)を作成しました。これにより、依頼者の経済的利益を完全に守り抜くことができました。
第三に、解決後の行政手続きまでワンストップでサポートした点です。 事件が和解で決着しても、死後離縁には家庭裁判所への煩雑な許可申立てや、確定後の役所での戸籍手続きなど、一般の方には負担の大きい作業が残ります。当事務所では、合意書の作成にとどまらず、これらの面倒な事後手続きの最後まで責任を持ってサポートいたしました。
突然の裁判所からの通知に驚かれる方は多いですが、法的な防御を固めた上で相手方の真の狙いを見極めれば、柔軟で有利な解決案を導き出せるケースは少なくありません。親族間の複雑な法的トラブルでお悩みの際は、ぜひお早めに専門家にご相談ください。

平山 友喜 弁護士
営業時間
09:00 17:00
050-5283-9312
平山 友喜 弁護士 を詳しく見る