
守るべき権利を守るために、日々邁進〜依頼者の不安に寄り添う丁寧なコミュニケーションが信条
進路に悩んだ時期に出会った、弁護士という仕事
ーー鈴木先生が弁護士を目指したきっかけを教えてください。
高校時代は芸術分野を専攻し、将来もその道に進もうと考えていたのですが、色々あって断念したんです。進路について改めて考えようと思い、職業紹介の本を見ていたとき、ふと弁護士のページが目にとまりました。
それまで興味を持ったことはなかったのですが、仕事内容を知るほどに心惹かれていきました。こちらの主張を認めてもらうために、どのような法律構成を組み立てるか。文章や法廷活動で相手方や裁判官にどのように主張を伝えるかーー。随所に創造的な要素があり、どこか芸術家の仕事に通じるものを感じました。企業に勤めるよりも裁量性が高い働き方ができそうなところも魅力でしたね。
本での偶然の出会いがきっかけとなって弁護士に憧れ、進学先は法学部を選びました。4年生のとき、本格的に弁護士を目指そうと決めて、司法試験の勉強を始めました。
当時はロースクール制度の開始が目前に迫った、新司法試験制度への移行期でした。私は当初旧試験を受験したのですが、僅差で残念な結果に終わってしまったんです。諦めることができず、ロースクールに進学して勉強を続けようと決意しました。
ロースクールは、ある問題に対して複数人がそれぞれのアプローチや考え方を語りあい勉強する場です。それまでは予備校にも行かず、答案練習の添削講座以外は1人で勉強していましたが、ロースクール進学後は人と一緒に勉強する機会が増えました。他者から吸収することに価値を感じていたので、積極的に仲間を誘ってゼミを組み議論を重ねていました。
ーー注力している分野と、その理由を教えてください。
特に力を入れているのは不動産関係の案件です。友人から相談を受けたことがきっかけで取り組むようになりました。
よく寄せられる相談は、投資用不動産のトラブルです。期待していた利回りが得られないためにオーナーとしては納得がいかず、「詐欺ではないか?」と思っている。一方、販売した企業側は「事前の説明は尽くしたはずだ」と主張して、当事者間で紛争状態になり、弁護士に相談に来るケースです。
住居用不動産では、リフォームのトラブルが多いです。「前金を支払ったのに工事が一向に進まない」「工期が迫っているのに、コロナで工事が遅れて完成のめどが立たない」といった相談を承っています。
不動産は衣食住の根幹です。まさに人間の生活に根付いた分野であり、今後も様々なトラブルが発生すると思うので、引き続き注力していきたいと考えています。
事実とそうではない部分を区別し、依頼者の気持ちを落ち着かせる
ーー仕事をする上で心がけていることはなんでしょうか。
依頼者との丁寧なコミュニケーションです。特に、依頼者自身が、「事実」と「自分の想像で膨らませてしまった部分」とを分けて考えられるように働きかけることを重視しています。
依頼者の話をよく聞いていくと、事実と自分の想像とが混ざってしまっていることが多いのです。トラブルを抱えて気持ちが不安定になっているときほど、相手のことや状況を必要以上に悪く想像しがちなので、仕方がないことかもしれません。
打ち合わせではまず、実際に起きた事実だけを取り出し、依頼者が想像で膨らませてしまった部分との区別をつけます。「不安に思っていたことは自分の想像で、事実ではなかったんだ」とわかれば気持ちが落ち着き、状況を冷静に見つめられるようになります。その上で、今後の対応方針についてわかりやすく説明していきます。
黒を白にするのではなく、白を白とするのが弁護士の仕事
ーー弁護士として大切にしていることは何ですか。
守るべき権利を守ること。これが弁護士の仕事の真髄だと思っています。他者の力を借りなければ自分の権利を守れない状況にある人がいたら、その権利を守ることが弁護士の役目です。一方、不正に権利を主張する人がいる場合は、それが依頼者であっても、説得して認識を改めてもらわなければならないと考えています。
物語の世界では、弁護士は黒を白にもする仕事だ、という描かれ方をすることがあります。しかし私は、白を白にすることこそが弁護士の仕事だと思っています。
結論を分けるのは、法律論以上に、どちらがより入念に準備していたか
ーー印象的なエピソードを聞かせてください。
企業間での業務委託契約に関する案件を担当したときのことです。相手方の企業から突然「契約を解除したい」と言い渡されて困っているという相談を受けて、受任しました。契約書を見ると中身が非常に曖昧で、様々な解釈や指摘の余地がある内容でした。この契約書では、仮にこちらに権利があるとしても、裁判所に理解してもらうのは難しいかもしれないと感じました。
厳しい案件ではありましたが、任せていただいた以上は最善の結果を導きたい。その一心で、契約の経緯や背景事情を細かく聞き取り、集められる限りの資料を揃えて法廷での戦いに臨みました。最終的には、依頼者が納得できる形での金銭的和解に至ることができました。
ーー納得のいく和解ができたポイントは何だったのでしょう。
裁判は法律論の闘いです。しかしそれ以上に結論を分けるのは、「どちらの方がより入念に準備をしていたか」ではないかと思うことがあります。
この事件では、依頼者への聞き取りと、資料の収集・整理に膨大な時間をかけました。契約書の特殊性については、契約の背景にあった個別の事情が影響していることを裁判所に詳しく説明しました。その結果、相手方の主張は一方的すぎることが認められ、契約が続いていれば得られたであろう金額の一部を支払ってもらうことができました。
入念な準備をしたからこそいい結果を導くことができ、依頼者の権利を守れたケースとして印象に残っています。
解決の道筋が見えれば、気持ちが楽になる
ーープライベートについても伺います。ご趣味を教えてください。
ランニングです。マラソン大会に出場したり、トレイルランニングを楽しんだりすることもあります。走ることはときに苦しいですが、一歩踏み出してみることで確実にゴールに近づけます。この意識は業務でも活かせるので、ランニングの習慣はプライベートにも仕事にもいい影響を及ぼしていると感じます。
ーー今後の展望を聞かせてください。
著作権に関する案件や新規事業のサポートに取り組みたいです。漫画家の先生と仕事をする機会があり、関心を持つようになりました。日本国内にとどまらず世界へ打って出ていける漫画を作る一助になれたらと考えています。
ーートラブルを抱えて悩んでいる方へ、メッセージをお願いします。
トラブルを抱えてしまうと、頭の中が不安でいっぱいになり、仕事や家庭のことが手につかなくなってしまうでしょう。
一人で悩まずに、ぜひ弁護士に相談してみてください。トラブルの初期段階で相談してもらえれば、法的な紛争にまで発展せず解決できることが少なくありません。相談に来た方から、「自分ではどうしていいかわからなかったけれど、道筋が見えてきたので安心しました」「気持ちが楽になりました」と言われることも多いです。
弁護士に相談すべき問題なのかわからなくても構いません。一度お話を伺えれば、適切な相談先の提案も含めて、悩みを解決するための道筋を提示します。お気軽にお問合せください。