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太平洋戦争の「空襲被害者」にも補償を――日弁連が国に対して要望書を提出
弁護士会館で行われた会見の様子

太平洋戦争の「空襲被害者」にも補償を――日弁連が国に対して要望書を提出

日本弁護士連合会は11月10日、太平洋戦争で「空襲被害」を受けた人やその遺族に対する金銭的な補償や援助を可能にする法律を制定するよう、政府にあてて要望書を提出した。空襲被害者やその支援者など103名の人権救済申し立てを受けての対応だ。

太平洋戦争で被害を受けた国民に対する賠償は、軍人やその遺族、要件を満たした原爆被害者などに限定されている。空襲などで被害を受けた一般の国民は、補償されてこなかった。日弁連は要望書の中で、こうした仕組みは憲法の定めた法の下の平等に反し、平和的生存権を侵害するなどと主張している。

日弁連は、空襲などで死亡した人の遺族に対して弔意金を支給することや、肉体的、精神的に被害を受けた者に対して、治療、療養のための金銭を支払うことなどを法律で定めるよう求めている。

空襲の被害者に対して賠償を求める裁判は、これまでも起こされてきた。しかし、最高裁判所は、「戦争犠牲ないし戦争損害は、国の存亡に関わる非常事態のもとでは、国民のひとしく受任しなければならない」「補償の立法措置を講ずるか否かの判断は国会の裁量的権限に委ねられる」として、国の責任を否定している。

これに対して日弁連は、空襲被害者などが受けた被害は「特定の行為に起因した、甚大で極めて悲惨な被害であって、特別な犠牲に該当する」「国の裁量に委ねられるべきではない」などとして、補償する法律がないことは人権侵害だと主張している。

日弁連人権擁護委員会の市川正司委員長は「国民の中でも、戦争の中で生じた被害は(原爆や軍人の被害などの)他にもあったという認識は広がってきた。遅きに失したかもしれないが、被害者を救済してくことが今やるべきことではないか」と訴えている。

(弁護士ドットコムニュース)

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