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大分の村八分で「総毛立つ恐怖心」 Uターン男性が提訴…是正勧告スルーされ
写真はイメージです(Fast&Slow / PIXTA)

大分の村八分で「総毛立つ恐怖心」 Uターン男性が提訴…是正勧告スルーされ

大分県宇佐市の集落(自治区)にUターンした男性が「村八分」のような扱いを受けているのは重大な人権侵害にあたるとして、自治区長ら3人と宇佐市を相手取り、330万円の損害賠償を求める訴訟を大分地裁中津支部に起こした。10月2日付。この問題では大分県弁護士会が2017年11月に自治区側に是正勧告を出していたが、改善はみられず、提訴に至った。

●区長激昂の翌月、突如の排除通告

訴状などによると、男性(60代)は2009年5月、母親の介護と就農のために関西地方から宇佐市にUターンした。当初は自治区(地縁団体で14戸からなる小規模集落)に加入し、地域の行事に参加したり市報の配布なども受けたりしていた。

ところが2013年3月ごろ、原告が農家向けの補助金に関する会議に呼ばれなかった理由を質問すると、区長が「口出しする権利はない」と激昂。原告が欠席した翌4月の集会で、「原告を自治区の構成員と認めず、今後は行事の連絡をせず、参加もさせない。市報も配布しない」という内容の決議をした。原告は「総毛立つような恐怖心を抱いた」という。

決議理由として、区長側は当初、住民票がまだ宇佐市に移されていないことを挙げた。そこで原告は2014年12月に住民票を現住所に移し、2016年5月19日付書面で自治区に加わる意向を示した。だが、「構成員全員の賛同が得られなかった」として、翌6月に拒まれた。原告側は「排除決議をした真の理由は、原告の住民票異動の有無ではなかった」としている。

●宇佐市「コメント控える」

原告側は訴状で、区長が自治区から原告だけを排除し、宇佐市に届け出る際にも原告を戸数に反映させず、原告に対してだけ市報の配布や行政に関する連絡をしなかったと指摘。「原告の名誉や人格権を著しく侵害するだけでなく、生活そのものを脅かすもので憲法14条(法の下の平等)にも反し、極めて人権侵害性の高い不法行為だ」と主張している。

また、宇佐市は慣例で、区長を特別職の非常勤公務員である自治委員として委嘱してきた(報酬あり)という。このため原告側は区長が行った不法行為について宇佐市も賠償責任を負っていると訴えている。

宇佐市秘書広報課は10月3日夕、弁護士ドットコムニュースの取材に対し、「私どもとしては訴状が届いていないのでコメントを差し控える」(担当者)とした。また、担当者は一般論と断ったうえで「市政に関する情報は市のホームページでも入手可能で、市役所で市報を入手することもできる」と話した。

これまでも、弁護士ドットコムニュースでは「村八分」に関連した記事を掲載してきた。主な過去記事はこちら(「https://www.bengo4.com/other/n_8123/」「https://www.bengo4.com/internet/n_8576/ 」「 https://www.bengo4.com/internet/n_8581/  」)

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