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2015年10月30日 11時00分

行政のミスで「マイナンバー」が漏えいした場合、賠償額はどれくらいになる?

行政のミスで「マイナンバー」が漏えいした場合、賠償額はどれくらいになる?
写真はイメージ

マイナンバー制度がスタートしたが、何となく不安に感じるのは、他人に番号が知られてしまうリスクだ。茨城県取手市では、住民票の自動交付機で発行した69世帯100人分の住民票にマイナンバー制度の個人番号(マイナンバー)が誤って記入され、その住民票を自動車販売店などに提出してしまうケースがあった。

取手市では本来、住民が住民票発行の窓口で希望した場合のみ、住民票にマイナンバーが記載される仕組みで、自動交付機ではマイナンバーを記載しない運用を考えていた。しかし、市の委託業者が10月3日に住民基本台帳システムと自動交付機の切り替えを行った際、誤って住民票にマイナンバーを記載する設定にしてしまったという。

行政のミスでマイナンバーを他人に知られてしまった場合、住民は行政に対して、損害賠償を求めることができるのだろうか。賠償額はどうなるのだろうか。行政の法律問題に詳しい湯川二朗弁護士に聞いた。

●実害が生じていなくても、賠償が認められることがある

「マイナンバーが実際に悪用されなくても、行政にミスがあれば、誰が、どのような目的で悪用するか分からないという『不安』に対して慰謝料が認められます。

もっとも、取手市のケースでは、マイナンバーが通知されたのは通知人本人であって、住民票に記載されていることに気づかなかった市民本人が、他人に知らせてしまったという特殊な事情があります。

仮に行政の側に違法・過失があって損害賠償が認められたとしても、このような本人の過失が考慮されて、額が減額される可能性があるでしょう」

賠償額としては、いくらぐらいが予想されるだろうか。

「賠償額を考えるうえで、参考になるケースがいくつかあります。

行政のミスで個人情報が漏えいしたケースとして有名なのが、京都府宇治市データ漏えい事件です。

このときは、住民票のデータが、市がシステム開発を委託した再々委託先のアルバイト従業員によって不正にコピーされて、名簿販売業者に販売されたという事件です。

漏えいした情報は、市民約22万人の氏名、住所、性別、生年月日等の住民票のデータで、具体的な実害までは発生しませんでした。

しかし、そのデータが誰によってどんな目的で使われるか分からない不安感を生じさせたことを理由に、一人当たり慰謝料1万円と弁護士費用5000円の支払いが認められました」

●民間の場合より高額になる傾向

「これに対して、民間の場合は500円から数万円まで、賠償額はさまざまです。住所・氏名などの情報にとどまる場合は金額が低く、秘匿性が高い情報については高い金額が認められるという傾向があります。

たとえば、TBC情報漏えい事件で、スリーサイズやコース内容等の情報が漏えいした場合には3万円の損害賠償が認められました(ただし、迷惑メールやDMが送付されるなどの二次被害がない場合は1万7000円)。

これらを先ほどの宇治市の事件と比べてみると、ミスをしたのが行政であるということからか、あるいは民間業者の場合はその支払負担を考慮してか、行政のミスの場合に、民間業者のケースよりも高額の賠償額が認められる傾向があるように思われます」

湯川弁護士はこのように分析していた。

(弁護士ドットコムニュース)

湯川 二朗弁護士
京都出身。東京で弁護士を開業した後、福井に移り、さらに京都に戻って地元で弁護士をやっています。土地区画整理法、廃棄物処理法関係等行政訴訟を多く扱っています。全国各地からご相談ご依頼を受けて、県外に行くことが多いです。
所在エリア:
  1. 京都
  2. 京都市
  3. 中京区
事務所名:湯川法律事務所

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