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「違憲の安保法制を発動させない」弁護士グループが差し止め求め、国を提訴へ
左から、寺井一弘弁護士、伊藤真弁護士、田村洋三弁護士

「違憲の安保法制を発動させない」弁護士グループが差し止め求め、国を提訴へ

弁護士で構成される「安保法制違憲訴訟の会」は12月21日、東京・永田町の衆議院第二議員会館で記者会見を開き、9月に国会で成立した安全保障法制が違憲・無効だとして、集団的自衛権行使の差し止めや、国家賠償を求める裁判を起こすことを発表した。

同会は、高等裁判所がある8つの都市の地方裁判所に差し止め訴訟と国家賠償請求訴訟を起こすほか、その他の各地裁にも国賠請求訴訟を起こす予定。各地の訴訟を担当する代理人として、約300人の弁護士が名乗りをあげているという。

「違憲訴訟の会」の共同代表は、伊藤真、内田雅敏、黒岩哲彦、杉浦ひとみ、田村洋三、角田由紀子、寺井一弘、福田護、堀野紀の各弁護士。今後、安保法制に反対する国民が原告となる形で、訴訟の準備を進めていく。

●「訴訟のゴールは、立憲主義と国民主権の回復」

訴訟では、安保法制の中で、特に違憲性が顕著な活動として、

(1)集団的自衛権の行使(存立危機事態における防衛出動)

(2)重要影響事態における後方支援活動

(3)国際平和共同対処事態における協力支援活動

の3点を中心に、差し止めを求める。

このほか、国家賠償請求として、安保法制の制定によって平和的生存権や人格権などが侵害されたとして、精神的損害に対する慰謝料を求める。

共同代表の伊藤真弁護士は「この訴訟のゴールは、立憲主義と国民主権の回復だと考えている。そのためには、この違憲の安保法制を発動させず、廃止することが必要だ」と意義を強調。「憲法を守ることが、国会議員の最大のコンプライアンス(法令遵守)だ。その当たり前のことを、この国に根付かせなければならない」と訴えた。

「安保法制違憲訴訟の会」によると、今回の裁判の原告としては、戦争被害者や体験者、基地や原発の周辺住民などをはじめ、広く国民に参加してもらうことを想定しているという。申し立て費用や弁護士費用の負担を無償として、気軽に参加できるようにする予定だ。

元裁判官の田村洋三弁護士は会見で、「戦前も、誰もが民主主義を目指していたはずだ。ただそれが、どこかで曲がり角があって、軍部独裁になっていった。そのとき、当時の国民が、マスコミが、議員が声をあげていれば、歴史は違った流れになっていたかもしれない。いま、日本がその曲がり角にいるのではないかという危機感がある」として、裁判への参加を呼びかけた。

(弁護士ドットコムニュース)

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