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日弁連、自民「憲法9条に自衛隊明記案」の問題指摘…議論と見直し求める決議案
憲法9条改正案に対して決議案を公表した日弁連の阪本康文副会長(中央)

日弁連、自民「憲法9条に自衛隊明記案」の問題指摘…議論と見直し求める決議案

日本弁護士連合会は5月23日、東京・霞が関の弁護士会館で定例会見を開き、自民党が進めている憲法9条改正について、議論と見直しを求める決議案を明らかにした。決議案は、5月25日に高松市で開始される定期総会で議論され、採決されるという。

これは、今年3月に自民党憲法改正推進本部が条文イメージを示したことを受けたもの。条文イメージは、憲法9条1項および2項は残しつつ、憲法9条の2を新設、自衛隊等について明記するという案だった。

今回の決議案では、立憲主義を堅持し、恒久平和主義の尊重を求める立場から、自衛隊を明記することの課題や問題を指摘。憲法改正の手続き法の見直しを求めるとともに、国民に広く議論を呼びかけたいとしている。

●「自民党の自衛隊明記案は、恒久平和主義を変化させる恐れ」

この日の会見で、日弁連の阪本康文副会長は決議案の提案理由について、「国民が熟慮できる機会が保障されること、そして国民の間で憲法改正の意味が十分理解された上で議論が深められるように自らの責務があることを決議するものです」とした。

決議案は、平和主義の観点と立憲主義の観点などからそれぞれ課題や問題を指摘している。自民党の自衛隊等明記案については、「海外における武力行使及び集団的自衛権の行使の禁止という憲法9条が果たしてきた憲法規範としての機能が減退ないし喪失」し、「政府がこれまで維持するものとされてきた専守防衛政策に根本的な変化をもたらしかねず」、日本国憲法の恒久平和主義に変化を生じさせる恐れがあるとする。

また、自衛隊等明記案は「必要な自衛の措置」としての武力行使の限界を憲法に定めていないため、その判断は内閣や国会に委ねられることになる。こうしたことから、「自衛隊の行動に対する実効性のある統制が実現することに疑義が生じ」、「国民の権利と自由(基本的人権)を保障するという立憲主義に違背」する恐れもあるとした。

日弁連では、決議案を採決するとともに、国民生活に直結する問題として、さらなる議論を呼びかけたいとしている。

(弁護士ドットコムニュース)

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