7月の朝、都内。出勤しようと玄関のドアを開けた男性は、足元で動きを止めた。
ネズミが2匹、いずれも首を切られた状態で死んでいた。
妻は気味の悪さから、帰宅した夫が処分するまで外に出ることができず、その日は出社をあきらめてリモートワークに切り替えたという。
「猫などの動物のしわざであってほしい」。そう考えた妻は、生成AIに尋ねてみた。返ってきたのは「1匹であればよくあることだが、2匹は珍しい」といった内容で、かえって不安が募ったという。
近隣との関係は良好で、トラブルを抱えている心当たりもない。それでも「脅しのつもりなのか」という疑いや、「呪いのたぐいではないか」「もっと恐ろしいことが起こるのでは」という不安が消えないと語る。
玄関に防犯カメラはないため、「犯人」は不明だ。夫婦は「いったい誰が。次に見つけたら警察に連絡します」と話している。
もし人の手によるものだとすれば、どのような刑事責任が生じるのか。そして夫婦はどう動くべきか。泉田健司弁護士に聞いた。
●繰り返されると迷惑条例違反も
──もし人が意図的に置いたのだとすれば、どんな罪に問われることが考えられますか。
単発のこの種の行為が必ずしも刑事犯罪の対象として捜査されるとは考えにくいところです。
ただし、何度も続いて行われる場合には、各都道府県の迷惑行為防止条例が適用されます。
たとえば東京都の場合、ねたみや恨みなど悪意の感情を満たす目的で、動物の死体のように著しい不快感を与えるものを相手の知り得る状態に置く行為を反復して行うことを禁じ、違反は1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金を規定しています(5条の2第1項5号)。
●犯人がわからなくても相談はできる
──犯人不明の段階でも、警察に相談すべきでしょうか
とりあえず相談はしておいてよいと思います。警察では、近所で似た被害が出ていないかなど、個人では調べようのない情報が集約されている可能性もあります。
単発では警察も取り上げにくいとしても、件数が重なっていれば看過できない状態になるでしょう。
また、不快かもしれませんが、今回の件の証拠写真を近景と遠景で撮影しておいてください。そして、あまりに繰り返されるようならば、防犯カメラの設置を検討してください。最近では安価なカメラも販売されています。