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海賊版サイトのブロッキング、訴訟に発展する可能性…婦人団体「刑事告発辞さず」
ブロッキングをめぐって、訴訟に発展する可能性も

海賊版サイトのブロッキング、訴訟に発展する可能性…婦人団体「刑事告発辞さず」

いわゆる「海賊版サイト」の対策で、NTTグループ3社がブロッキング(サイト遮断)を実施する方針を示したことを受けて、全国地域婦人団体連絡協議会(地婦連)が4月25日、「通信の秘密」を侵害するとして、「刑事告発も辞さない」という見解をホームページ上で示した。

違法アップロードされたマンガやアニメが無料で見えてしまう海賊版サイトをめぐっては、政府が4月13日、「漫画村」など3サイトを名指し。刑法の緊急避難を用いて、プロバイダの自主的な取り組みとしてブロッキングすることが適当という見解を示した。

このような状況のもと、法学者や事業者から「通信の秘密」や「表現の自由」を定めた憲法に反するという批判が相次いだ。一方、NTTは、NTTコミュニケーションズ、NTTドコモ、NTTぷららの3社が準備ができ次第、ブロッキングを実施すると発表していた。

●「具体的な事実及び法的根拠を示していない」

地婦連は、主婦連合会と連名の意見書をホームページ上に公開した。NTTグループ3社のブロッキング発表について、「具体的な事実及び法的根拠等を示していない」と批判。NTTに対して、強く抗議するとともに、ほかの電気通信事業者にもブロッキングをおこなわないことを求めている。

さらに、ブロッキングが実施された場合には、ほかの消費者団体と協力して、消費者契約法上の消費者団体訴訟を提起するほか、総務大臣に対し電気通信事業法上の改善命令を求めたり、電気通信事業法違反で刑事告発を行うことも辞さないとしている。

●弁護士「違憲の主張はしづらい」

今回のブロッキングに反対している上沼紫野弁護士は「今回はユーザーが声を上げないと止まらない感じだ」と話す。ユーザーや消費者団体は、どのような法的手続きが可能なのだろうか。

「刑事告発が可能です。民事訴訟でも、ブロッキングの差止めや、みずからの通信内容を取得されたこと(場合によっては、接続先を制限されたこと)に対する損害賠償請求が考えられます。また、実施方法によっては、適格消費者団体による差止訴訟も考えられます」(上沼弁護士)

政府に対して「憲法違反だ」と訴訟を起こすことはできるのだろうか。

「今回のケースでは、違憲の主張はしづらいと思います。というのも、政府は結局、ブロッキングについて民間に『よしなに検討してね』と言っただけになっているからです。ブロッキングは、あくまで通信事業者が『勝手に』おこなうことになります」(上沼弁護士)

今後、裁判にまで発展するのか、現状まだわからないが、NTT側の対応も含めて、目を離せない状況がつづきそうだ。

(弁護士ドットコムニュース)

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